手術の翌日

確か木曜日だったと思う。体は少しは楽になったが相変わらず上を向いたまま寝がえりどころか水を飲むのがやっと。

ベットの背を上げてもらって少しは食事もとれるようになったし、色々ついていた管も午前中には外れ、尿を取る管だけになった。

一般病棟に移らないのかな?と思っていたら、看護師さんが来て「明日やっと一般病棟が開くから明日移動しますね」と教えに来てくれた。

「私何もできませんが荷物とかどうしたら・・・」と聞くと、「ベットと一緒に持って行くから大丈夫、心配しないで」と言う。「お願いします」と言うと、「仕事だからね、当たり前の事よ」と明るい声が帰ってきた。私は心の中で『凄いな~』と感心していた。


昼過ぎの事「髪を洗いに来ました」といろいろな器具を持った女の人が二人部屋に入ってきた。

『髪を洗うって、私全く動けないのに』と思っていたら、「動けないのは解っていますから、首の下に器具を入れますので少し痛いかもしません」と一人が言い用意を始めた。一人が首を持ち上げもう一人が水が漏れないような専用の防水布のようなものを差し込んだ。そしてお湯をかけ髪を洗い始めた。シャンプーをして洗い流す。不思議なことに首にお湯のかかる感触がない。介護施設などで寝たきりの人の髪を洗う映像を見たことがあるが、どうやらそうやって洗っているようだ。洗い終わると器具を外しタオルで水を吸い取ってドライヤーで髪を乾かしてくれた。もう一人は体を拭いてくれてずいぶんさっぱりとした。

「終わりました」と声を掛けられ「ありがとうございました」と返事すると「でわ」と言って二人は部屋を出て行った。


実を言うと、次にシャンプーやシャワーが浴びられたのはかなり歩けるようになってからで、この時シャンプーしてもらっていたおかげで助かったのは確かなのです。病院がそこまで患者のことを考えている証なのだと思いました。


主治医がやってきて「手術は無事終わりました。薬なのですがお嬢さんから明細と残っていた薬を見せてもらいましたが、リュウマチ科以外から薬をもらっているとかないですか?」と聞かれた。

「はい、薬はリュウマチ科だけです」と私が答えると、「そうですか、同じ薬ではないですが同じ効果の薬を出しますので、それと痛み止めですが、今飲んでいる薬以上のものはないのでそのまま出します」と医者が言う。「え、炎症止めの薬しか飲んだないはずですが?」と私が言うと「その炎症止めが痛み止めを兼ねているのです。かなり強い薬なのでこれ以上痛み止めは飲めません」と主治医は言い、「点滴が外れましたから夕食から薬を出します」と言って部屋を出て行った。

私は『あの薬が痛み止めだったなんて~~』と半信半疑だったのだがその薬を10年以上飲んでいるので、退院したらリュウマチ科の主治医に相談しなくてはと思った。


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