椿ヶ丘総合病院

椿ヶ丘総合病院は救急病院であり、ドクターヘリのヘリポートが屋上にある総合病院である。

救急車は搬入口に着いた。私ストレッチャーのまま検査のため中へ入り、娘は控室にいたそうだ。

色々な検査を受けたがベットの移動や検査機器までの移動も数人がかりのチームでスムーズに行い。全く動けない私を軽々と動かした。私は介護の経験があるので、大人の重さというのを知っている。それを感じさせない見事なチームワーク。プロと言うのはこういうことかと感心していた。

一通り検査が済むと、数人がかりで入院着に着替えさせられた。その時「痛い!」と言っても「大丈夫」とそのまま進め終わって寝かされたときには痛みが引いていた。看護師の一人が「寝た状態で折れた骨が正しく入ったから痛みがなくなったのよ、動けないとは思うけどこの状態を保ってね」と言われた。

そしてカーテンで仕切られた場所に連れていかれた、ほどなくして娘がやってきた。私が「ごめんね、こんなことになって」と言うと娘は「しょうがないじゃない。家のことは何とかするからお母さんは治す事だけ考えていて」と言ってくれてとてもありがたかった。

しばらくすると看護師がやってきた。「病棟の用意が出来たので案内しますね」と言い、数人でベッドを押し、エレベーターで4階の広い部屋に連れて行きそのままベッドを固定した。「手術は明日昼からになりました。詳しい時間は決まり次第お伝えします」と看護師は言い娘に向かって「木村さん、入院の手続きと必要なものをお伝えします、係の者が来ますから」と説明していた。その間も私には別の看護師が色々な器具を取り付けていた。そして点滴と娘に見えないように尿を取る管を付けた。

係の人が来て娘に入院の説明をしていた。説明の後娘が「必要なものを取ってくるねまた来るから」と言って出て行った。

病棟に一人残されて心細くはあったが、痛みが無くなったことでうとうとしていた。


どれくらいたっただろう。娘が「入院に必要なものを持ってきたよ」と病室に入ってきた。「仕事は今週いっぱい休ませてもらうことにしたから」と娘が言う。

「今日は火曜日よ。4日間も休み貰ったったの?」と私が返すと、

「親の入院じゃしょうがないじゃない。私も家の事とか整えるのに時間がかかるし、いいのよ、仕事まだ手になるほど覚えていないから。復帰したらまた頑張るから」と明るく言う。娘は派遣社員でこの春職場を変わったばかりだった。

「ごめんね、苦労掛けるね」と私が言うと、「ごめんは無し」と言い返された。

「じゃ、ありがとう。世話になるね」と返したら、「うん、あのねコロナの関係であまり長くいられないの、明日手術前には来るから」と娘が返事した。

「解った」と私が言うと娘は「また明日」と言って部屋を出て行った。


病棟は、21時消灯。私も眠りについたのだが、あまりにも早い時間でうとうとするだけで、すぐには深く眠れなかった。看護師の方々は時間ごとに様子を見に来て、それが朝まで続いた。夜勤があるのは聞いていたが、夜に起きていて患者のお世話をするのはとても大変だと思った。

私はいつの間にがぐっすりと眠っていたけれど。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る