第7話
折り返し地点に入った頃、僕は先頭グループにいた。
人数は10人くらいだった。
やっぱり僕は競い合ってる気持ちは少しもなかった
いつもの練習と同じように、何km走ったのかも、何分、走っているのかも気にしなかった。
僕の頭の中は、練習の時でもマラソン大会の時でも同じだった。
両親の姿は格好いいなと思ったり、肉屋さんのあとを継げないけれども、あのお店は立派なお店だと思ったりしていた。
周りを気にしないまま僕はゴールした。
なんと一番だった。
もともと競い合う気持ちがなかったのだから優勝としての嬉しさよりも、走ったことの充実感を感じていた。
優勝だったけど、歓声を上げるわけでもなくガッツポーズを取るわけでもなかった。
両親に賞状を渡す時に添える言葉を、まだ考えていた。
灰色の空に所々、青い空がのぞいていた。模様を変える空を見ても言葉は浮かんでこなかった。
ただ、両親に会いたいと強く思っていた。
(おわり)
マラソン少年 雨語入門 @amegonyumon
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます