3-5

 森を抜けるといきなり荒れ狂う雨風に襲われて足がよろめき止まった。

 するとすぐさま後ろから発破が掛けられた。


「おい、しっかりしろよ。櫓からチリのエルキトーダイをぶっ放すんだろ。そんならこれぐらいの風にいちいち押し返されてんじゃねえ」


 その厳しい言い方がとても耳に心地良かった。シオリカは歯を食いしばり暴れる横風に肩を押し付けるように歩き始めた。


「私、チリを助けます」


 風音に掻き消されないように声をかぎりに叫ぶとバルタも大声で答えた。


「おう、やれるもんならやってみな」


 シオリカは大きくうなずくと顔に張り付く髪をもはや放って一心に櫓を目指して足を進めた。

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