第51話 鬼八の最期
掴まれた右腕一本で吊り上げられた姿勢から、お涼は左手で取り出した短剣を鬼八の胸に突き刺していた。
急速に弱まる握力。
お涼は鬼八の腕から抜け出した。
自分の胸に柄まで深く突き刺さった短剣を、鬼八は呆然と眺め、ゆっくりとその柄に手をかける。
心の臓を貫いた刃を、鬼八は最後の力で引き抜いた。
「ゴフッ」
傷口と鬼八の口から同時にドロッと
血にまみれた両手で愛おしそうに短剣の柄をなぞり、鬼八はもはや光を映さぬ目に笑みを称えた。
「……あ……やめ……」
ドクドクと溢れる自らの血溜まりに沈んだ鬼八は、柄の部分にあやめの絵柄が彫刻された形見の短剣を胸に抱いてこと切れた。
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