第47話 思わぬ助太刀
兵士の持つ松明で辺りは昼間のような明るさだった。多勢に無勢、さすがにこの数を猿一人では
お涼の顔に苦悶が浮かんだその時、
「グアァッ」と叫び声をあげて、最前列の憂ノ国兵士がバタバタと倒れた。
「何事!?」
お涼と猿、そして鬼八もが予期せぬ奇襲に目を見張る。
「女、年寄り相手に総力戦たァ無粋だねェ」
木立から声が降ってきた。
「お涼殿。遅れ馳せながら、助太刀致す!」
お涼は聞き覚えの有る声に目を見開いた。
「この声、藤二殿!?」
鬼八は顔を歪めた。
(この期に及んで真田の三勇士が助太刀だと? チッ、分が悪ぃな)
鬼八の姿が闇夜に溶けた。
「お涼殿、ついて参れ!」
大柄な忍が木立から飛び降りるや否や、鬼八を追って闇夜を駆ける。反射的にお涼は追従した。
「弥助の鼻からは逃げられぬ。あちらは二人に任せて、ご尊老にはここを凌ぐ手助けを頼みたい」
「……あい判った」
藤二の申し出に、猿は応じた。
メラメラと燃える松明に揺れる援軍はその数を増やし、闇にうごめく様はまるで大きな生き物のようだった。
「百…いや、二百余りってェとこかィ?」
「とっとと倒して弥助を追うぞ!」
義平と藤二は大軍を前にしり込みするどころか意気揚々と忍刀を構える。
(さすがは真田の三勇士、踏んでいる場数が違うわぃ)
猿は若い忍らに遅れを取らぬよう、クナイを握り地を蹴った。
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