第28話 鬼八の決意

「やっぱり兄貴の言う通り、本物の巻物は頭が持ってやしたぜ」

 佐吉の報告を聞きながら、鬼八の隻眼が鈍く光る。


「あやめ様を見殺しにし里の権威を落とし込んでおいてなお、憂ノ国への足掛かりをその手で潰すか、宗兵衛!」

 怒りに震えるその声に、佐吉も薄ら笑いを引っ込める。


「最早、猶予ならん。日和見た老害は排除せねば全て腐り落ちる。

 かくなる上はこの手で戸隠を潰し、新たなる里を一から興す!」


 佐吉は鬼八にかしずくと、こうべを垂れて呟いた。

「アニキに拾われたこの命。地獄の果てまでお供しやすぜ」

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