第四話 

あれから数日経った、多分そこそこ早く着けたと思う。

今はテレンスが馬車を引いている。

「ヴァン様王都が見えてきましたぞ」


「たしか城壁に囲われている珍しい都市の一つだよね」


「その通りです。一応復習も込めて質問いたします、何故城壁を持った都市が少ないのかわかりますかな?」


「結界装置の発明だっけ?それで結界装置をある程度頼って都市を作られるようになったんだよね」


「正解です。まあこれくらいなら答えられますか」


正面を見るイリヤさんがニコニコしていた、の長い魔法話が始まるのだった。



検問を無事抜けて王都の街並みはとても活気に溢れていた、皆建国祭に向けて準備しているのだろう。

まあ遅く着くよりは早く着いた方がいいのは事実なのだが。そんな感じで全体的にまだ準備期間と言った感じだ。


狩猟祭は一応祭りではあるが、あくまで奉納のための儀式的な側面が強い。特にこの儀式を神聖視している人も少なくない、そのためあまり大きくは騒げない。

つまり狩猟祭だから何か特別な事をするというわけではない、あくまでその先にある建国祭が重要なのだ。


「ようやく馬車から降りれますね、馬車の移動がここまで大変だったとは思ってませんでした。イリヤさんの魔法なしだともっと揺れていたと思うからイリヤさんがいてよかったです」


「まあ私は馬車を使う機会が多かったものですから、馬車を快適にするために魔法を作りました。ヴァン様の役に立ったのなら嬉しい限りです」


「魔法ってそんな簡単に作れるものなんですかね?」


「まあ今回のは簡単だったのでまあヴァン様は流石に難しいと、アリシア様なら半年もあれば作り出せるでしょうね」


へえー意外と簡単な魔法なら作るのは容易いのか、と思っていたら。

馬車を引いているテレンスが訂正してきた。


「騙されてはいけませんぞお坊ちゃま。一から魔法を新しく作る場合十年以上の歳月が必要ですな。それ以上に新規で魔法を作った場合は、魔法管理局にと新規魔法として申請しないといけないのです。イリヤ様は報告しない事もしばしばあるのですが」


「イリヤさん?」


「ヴァン様大丈夫です。今回はきちんと申請しました。まあそれとは別に未報告の魔法があと20ほどあるのですが、気にしないでください」


・・・・まあ気にしないでおこうイリヤさん怒らせると怖いし。


その後適当な雑談をしながら無事王城に着いた。

王城は当然だが立派としかいえない、イリヤさんから習った事だが王城は王家の権力を見せつける部分があるので豪華だとか当然それ以外も教わった気がするが忘れてしまった。そんな適当な事を考えながら登城する。

その後メイドに案内されて、一息つくのだった。荷物は後で持ってきてくれるらしい。


荷物と言っても服の着替えとお金くらいなものである。

部屋は質素以外特にいう事はない恐らくこの。何故なら大抵の貴族は大なり小なり別荘を王都に構えている。そこで準備を整えて登城するというのが普通なのだが。

ウォールライト家にも別荘もあるのだが、政務に現在進行形で使われている上、祭りの準備で忙しいため使用できない。


「ひと安心ですなヴァン様、貴族のちょっとした嫌がらせが、あってもおかしくないと思ったのですが。杞憂に終わったならまあそれはそれでいいのですが」


「僕も貴族が何考えてるのかよくわからないし、多分僕にはあまり興味がないとないんじゃないかな?怠惰な無能で通ってるし、恨みがあるなら今は、まだ何もしてこないんじゃないかな」


僕が話すとイリヤさんが割って話す。


「ヴァン様は現在侯爵の息子ですからぞんざいな扱いはできないです、侯爵の立場とはそれ程に大きいものなのですよ。まあ問題は子供の方なのですが」


「なるほどで子供の方の問題とは?」


「貴族の跡継ぎは挨拶やパーティで忙しくヴァン様に構う余裕はないでしょう、ですが跡継ぎではない三男などがちょっかいを掛けてくるかもしれません。ここで問題なのが子供というのが困った所でして。」


「なるほど。子供だからという理由である程度の事が見逃されるし跡継ぎじゃないから、最悪何か起きても縁を切ってしまっても問題ない」


「それと人間は長男が死んだときのための保険としての部分がありますが。私達は不死族なため長男跡継ぎが死ぬという事は殆どないのです。一定の年齢になれば貴族の子供は廃嫡となり追い出されるのです。三男以降は何かしら価値を示さないといけない、そしてヴァン様は危うい立場にも関わらず中遊び惚けてる無能、鬱憤を晴らしたくなる気持ちもわかるかと」



「なるほど。といっても努力してもそれではそれで問題があるんだけどそれに」


話そうとした時ノックの音が聞こえる。

・・・・あ声量気にしていなかった。


「ヴァン様大丈夫です。ちゃんと防音の結界を張っておいたので聞こえてないです。」


イリヤさんがドアを開けると。

大柄の執事が扉の前に立っていた。顔はなんというか控え目にいって強面といった感じ眼帯もしているため顔の怖さにより一層拍車がかかっている。


「ヴァン様の部屋でお間違いないでしょうか?」


「はい間違いないです。」


「私はアラン第一王子の執事であるガネルと申します。ヴァン様とお会いしたいとの旨を言伝をお預かりしました。詳細はこちらの封筒に入っております」


ああとても面倒な相手から話があるらしい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る