第三話
あわただしく時間が過ぎ去っていった。
アリシア姉上の素晴らしいマナー講座はなかなか大変だった。僕はもう二度とマナーを学びたいと思うくらい素晴らしいマナー講座だった。
まあそんな鬼みたいなマナー講座を乗り越えた、マナーはほぼ完璧になったと思う・・・多分正直な所イレギュラーな事態出くわすか、なんてわからないので気楽に行くことにした。
そして出立の日になった。
他にも狩猟祭に出る兄弟がいるのだが、僕が一番最初に出発する。
理由は単純で僕以外は大所帯なのだ、少なくとも僕等よりも王都に着くのが遅くなるからだ。
僕達が乗る馬車は商人が乗るような貧相な物だ、その分乗る人数が3人なのと余計な装飾がない為早く進む事ができる。
馬車が揺れる事には変わりないのだが。
「ヴァン様何か考え事ですか?」
メイド服を着ている糸目の女性が話しかけてくる。
「イリヤさんまあ考え事というわけではないですが、馬車の揺れが苦手なので正直億劫ですね」
今話しているのはいつもお世話になっているメイドのイリヤさんである。
彼女は普段僕の姉の魔術を教えており、普段は料理などを作ってくれているいつもお世話になっている。
僕の数少ない味方になってくれる人の一人だ。
「ヴァン様は貴族のパーティなどにあまり行か、馬車に慣れて無いのは仕方ないです。道中は魔法で揺れ自体和らげますので、少々楽になると思います」
イリヤさん魔法使いとして超一流である為魔法できる事は、彼女は大体出来てしまうのだ。
「僕は便利な魔法が一切使えないので、頼りに切りなってしまいますね」
「魔法というのは才能が出る分野ですから仕方ないです。まあそれとは別に肉体強化の魔法私は十分便利な魔法だと私は思います」
「そうですかね?属性魔法の方が僕からすれば便利見えるものなのですが」
「属性魔法と言っても魔力量に依存する部分がありますから。特に魔力量が多い人にとっては便利な魔法ですが。魔力量が多くない人にとっては、肉体強化の魔法は優秀だと思うのですが。属性魔法が優れてという考えを持つ人が多いのが現状です。
これは歴史的な積み上げもありますから仕方ないですが」
この国は昔は不毛な大地が広がっていたが。様々な属性を使い土地を増やしていった。そのため属性魔法使えるものを優遇して採用されたため。今現時点でも属性魔法の優遇は変わっていない。
魔力が多少低い程度の人間でも属性魔法を覚えていればかなり優遇される。その逆に属性魔法でない魔法は、見向きもされない。これもこの国の歪みと言える。ちなみに僕は属性魔法が使えないのと不死落ちという二つの意味で避けられる。
僕が話そうとした時後ろから声がかかる。
「イリヤ様魔法の話はほどほどに。魔法お好きなのはわかりますが、少し喋りすぎです。それよりもう出発しましょう準備はできておりますので」
「・・・・失礼いたしました。では行きましょうかヴァン様」
・・・あっ逃げた。
「少し待ってくれないか?弟に少し話がある」
後ろを振り向くと姉上がいた。
出発前だがドレスを着飾っていた、これにはちゃんとした理由がある。
姉上は少し遠回りというわけではないが、各地方の貴族達の挨拶訪問をする。
これは次期当主としてのアピールも兼ねている。当然それ以外には商売の話など話すことは沢山ある。といっても自分はそういう事をやることはないだろうから関係なさそうだ。
「唐突に、何かありましたか姉上?」
「まあ大したことはないのだが一応伝えておこうと思ってな。この時期は貴族が一斉に集まる、特に貴族は当然だがお金を持っている。この時期は特に誘拐などが起きやすい部分がある。一応ヴァンお前を注意しておいてほしい」
「わかりました姉上。では僕はこれにて正直な所これ以上話すとマナーを理由に連れていかれてかねませんから」
「ふふ・・いうようになったじゃないか。とりあえずだお前には二人がいるから大丈夫だろうが油断はするな」
「了解いたしました。姉上も気を付けて」
「ああこちらも気を付けるとしよう。テレンスにイリヤ時間を取らせたすまないな」
そう姉上は二人の方を向いて声をかける。
「お嬢様なんの気にせず。こちらは人が少ないので時間には余裕がありますから」
「そう私達に気を使わないでください。貴方はウォールライト家の次期当主のアリシア・ウォールライトなのですから。アリシア様私達にそう気を使わなくてもいいのです」
イリヤさんのはっとやらかしたという顔をしてしまったがすぐ表情を戻した。
恐らく今はプライベートではなく次期当主である。一般貴族ならまだしも我がウォールライト家は侯爵家、従者二人に気を遣う必要はないと言っているのだと思う。
「すまなかったイリヤ。次は気を付けるとしよう。」
姉上がそう謝っていると老執事が姉上に耳打ちをする。
姉上がにやりと笑った。
「イリヤそういえば我が弟に対して、少し魔法の事を多く喋ってしまったようだな。我が弟は肉体強化の魔法しか使えないはずだが。何か沢山話す事があっただろうか?」
「申し訳ございません。以後気を付けます」
姉上少し楽しそうだ。まあイリヤさんの魔法好きは直しようがない気がするが。
まあいいか。
少し機嫌が悪そうなイリヤさん見ない振りをして先に馬車に乗るのだった。
その後当然のように姉上がイリヤさん一方的に言い包められボコボコにされ、しょんぼりしているのを傍目に馬車は出発したのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「出発したか」
遠ざかっていく馬車。
自分はどんな顔をしているのだろうか。こういう時どうすればいいのだろうか?まあ今悩んでもどうしようもない話だ。
この感情は不安なのか?すらも私にとっては曖昧な物だ。
今は気にしてもしょうがない、今はただ見守っていくと決めたのだから。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ウォールライト領の穀倉地帯を抜けて、馬車の旅はかなり順調に進んでいた。
今は三人で馬車をローテションして引いている。
なぜ僕が馬車を引いているかというと、馬車と言わず馬にあまり乗る機会がないため練習のため僕が馬引いているのだ。
魔物に全く遭遇していないので正直助かっている。魔物と動物の違いそれは魔力を持っているかいないかの差だ。
僕は正直この手の知識はイリヤさんの受け売りなので、悲しいあまり詳しくはない。
一般的には凶暴な動物が魔物で、温厚な動物は魔物ではないような分け方をしている。
きちんと整備された街道があるため馬車の揺れなどもかなり少ないため比較的快適な旅をだった、特に何も無く一週間ほど経過していた。
想像以上に順調で二週間ほどかかる予定だったが10日くらいで王都に着くきそうだ。
元々遅れる前提で早く来ていたのだが時間はかなり余りそうだなと思った。
早く付けそうなのはいい事なのだが、ただ今はとても退屈だ何故なら周囲が森だらけで殺風景な景色だったからだ。三日同じ道を見続けたら流石に飽きが来るものだ。
自分が馬を引いているときはまだ馬の操作に集中してるの出来がまぎれるのだが。
こうなにも無いとかなり退屈な物である。
「退屈そうですな馬車はなれましたかな?ヴァン様」
「まあ退屈だし、馬車には慣れないし大変だよ。イリヤさんが魔法をかけてくれているのはありがたいけど。それでも揺れはあるから早く付いて欲しいよ」
「そうですな。私も最近年の所為で節々が痛みますなー。」
そう言った突然イリヤさんが馬車を停止させる。
何かありそうなので馬車から降り近くを見渡すがなにも無かったのでイリヤさんに話を聞くことにした。
「イリヤさんどうかしました?近くには何もいなさそうでしたが。」
「ヴァン様奥の方にこちらに向かって走ってくる魔物が見えましたので。馬車を停止させていただきました。テレンスお願いします。」
「イリヤ様は人使いが荒いですね。あなた一人でも対処できたでしょうに。」
「・・・まあそれは当然ですが。正直な所魔力をあまり使いたくないのが本音ですね。一応魔力は問題ないですが、残しておくに越したことはありませんから。」
そうすると数秒後猪のような大きな魔物がこっちめがけて突撃してくる。
その前に立ちはだかるのは老執事、服からでもわかる鍛えられた筋肉今でも鍛錬を欠かしてない証拠である。
彼は腰のレイピアを抜く、そして魔物の方に向けて走り出す。
そして交差した瞬間突然と彼が姿を消えた、気が付くと前にいて彼はもうすでにレイピアを収めていた。
その猪のような魔物は横に大きく吹き飛び真っ二つになっていた。
「流石元A級冒険者テレンス・ロングの腕は今だ健在ですね」
「はは。全盛期に比べればまだまだですよお坊ちゃま。イリヤ様では行きましょうか。」
猪のような魔物から使える素材を一応とっておいた。
馬車にのってイリヤさんが馬車を引く、そして退屈な旅は続いていくのだった。
テレンスさん名前事前に決まってたけど。
書き忘れてた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます