第10話 見知らぬ生徒
体育館で知り合った?六年生にはまだ会えていないらしい。
「もしかしたら、七百七十七不思議のひとつだったんじゃないかなって」
三日目には疑い出した。
七坂小学校は三年生から六年生までは一学年四クラス、一、二年生は三クラスで昨今の小学校ではそこそこ生徒数が多い方だ。
なので、六年生と五年生は校舎の階数が違っているので三日程度なら会えないのも普通ではないかと思うのだけど。
「そういう不思議があるの?」
「いくつかあるよ」
そう言って、息子は七百七十七不思議を書き留めたノートを開いた。
一度見せてほしいと言ってみたのだけど、「まだセイサできてないから」と澄ました顔で断られた。
『精査』は最近の息子の中でのカッコイイ言葉なんだそうだ。
「校庭で鬼ごっこしていたら一人増えてて、でも誰が増えたのか分からない。これなんかは他の学校でもあった定番だよね」
確かに、学校に限らず子供が集まって遊ぶところでは聞くことがある怪談だろう。
「あとは……放課後、誰もいなくなった教室を覗くと一人だけ座っている子がいる。普通に会話してバイバイするけど、教室から出た途端、相手が誰か忘れちゃう。すぐに教室に戻るけど、そこには誰もいない。」
ついさっき、言葉を交わした相手が幽霊かもしれないっていうのは怖い。
息子の会った六年生も近いけど、場所が違うわね。
「あと場所が特定できてないんだけど、階段の近くを通りかかると上の階から声をかけられる。友達かな?と思って階段を上がってくんだけど、相手も上に上に上がっていって、なかなか捕まらない。で、止まってってお願いするのに相手は自分のところに来いっていうから、腹を立てて下に戻ったら上から舌打ちが聞こえて、ヒドイって文句を言おうとしたら、上に上がる階段がない。
もうそこが三階だったのに、声に言われるまま上がってたら、どこに連れて行かれたのか……って、これは知らない生徒の話じゃないね」
確かにちょっとジャンルは違うけど、私としては一番怖かった。
「体育館にもそういう知らない生徒の話があるの?それとも忠告してくれる生徒の話?」
「体育館は人影と跳び箱と……暗くなった体育館で跳ねているボールがあると思ったら子供の首だった、っていうのはあるけど、これは他の学校にもありがちだから、本当に七坂の不思議かどうかはあやしいなぁ。跳び箱もなんだけど」
学校の怪談、というものが流行り、テレビを介して広がったときに各地で同じような怪談話が生まれて七不思議として定着していったらしい。
大元は本当の怪談だったのかもしれないけれど、テレビや雑誌で知った怪談を知らない友達に教えようと話すうちに「自分の学校の怪談」として広まってしまったものも多いんじゃないか、というのがSNSの知人に教えてもらった説らしい。
「似たような怪談がすでにあったから、より定着しやすかった可能性もあるから、必ずそうだというわけじゃない、らしいけど」
「うーん……ねえ、その六年生が怪談だったのと、実際にちゃんといる人間なのと、どっちが嬉しい?」
つい気になって聞いてみると、息子は
「そりゃあ、もちろん、ちゃんと人間の方が嬉しいよ!だって、本物かどうか分かる人だよ!七百七十七不思議がひょっとしたら七不思議に戻るかもしれないし!」
そう言って、明日からの捜索に再び前向きになったようだった。
本当に、その六年生に迷惑をかけなきゃいいんだけど。
20、一人増える校庭の鬼ごっこ
21、放課後の居残り生徒
22、上へと誘う階段の声
23、体育館で跳ねる首
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