第9話 声

 「ユナイトだ」


 画面の中のヒーローを見つめる。

 

 毎週木曜日、夜10時半から40分間、ウルトラマンXの主演俳優だった、高橋健介さんの配信番組を聞くようになってから、ずいぶん経つ。


 うん、習慣と言うものは恐ろしいもので、それがないと1週間が終わった気がしない。


 療養期間中だし、精神の不安定さには拍車がかかっており、いまだに、復職からは遠ざかっている。


 久しぶりに、東京へ行った。


 ガラガラと、びっくりするぐらいの異常な人、人、人。。。


 久々に行っただけで、心が折れそうになる。


 「エックス、助けて」


 声が聞こえた。


 「呼んだか?」


 脳内に、直接、高橋健介、じゃなくて、大空大地の声が響いた。


 ぐるっと、近くに、高橋健介さんがいるのではないか、と思ったが、もしかしたら、と思いつつ、ガラガラと、自分自身を奮い立たせて、新宿へと行った。


 新宿へ行った先で、高橋健介さんはいなかった。


 いたのは。


 Rの法則で、高橋健介さんと同期だった、齋藤明里さんだったらしい。


 さて。


 あの声は、本人だったんだろうか。


 それにしても、なぜ。。。

 

 とは思うが、個人的には、助かったので、後で、何かしら差し上げたいと思うが、わたしは、彼が宣伝している洗顔料は、めったに使わない。


 顔を洗う時に洗顔料を使わないのである。


 できれば、水で洗うのもだるい日がある。


 うーん、何かしらの貢献はしたいが、難しいものだ。

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