第8話 こだま

 大洗磯前神社に行った。


 ガールズ&パンツァーのスタンプラリーがあって、それを一通り回るために行ったのである。


 何故かわからないが、階段の右側に、小さな社があったので、そこに祈りを捧げた。


 用事も済んだところで、さて、別の目的地へ向かおうと、歩き始めたとき。


 不思議なことが起きた。


 自分の左側を、何だか小さい人が歩いているのである。

 

 悪い感じはしないので、いたずらでもしに来たのだろうと思った。


 とは言え、勝手になぜか、私の左腕と自分自身を紐でつなぎ、ゆっくりと一緒に歩いているのである。


 顔は見えないものの、ただ楽しんで歩いてきてるのだろう。


 一体何のために来たのか分からないので、名前をつけてみた。


 おいで。


 手のひらに乗せてみる。


 お前の名前はこだまだ。


 たまたま、もののけ姫に出ていた、こだまを思い出したので、その子に名前をつけたのである。


 それから、しばらく歩くと、こだまは、姿が見えなくなった。


 家に帰ろうと、ふと、気になって、手元の携帯電話をのぞいてみた。


 好きな俳優が、Twitterでつぶやいたと言う通知。


 それを黙って見ていると、まるでタバコの煙が目に染みるように、涙が出てきたので、慌てて家に急いだ。


 家に帰って思ったのだが、こだまは、私の復讐を止めたかったのではなかろうか。


 そんなことしなくてもほら、わかってる人がいるよって言う意味で、こだまは、手をつないだのだろうか。


 これが作り話であれば、良いのであるが、実話だから困るのである。


 第8話、終わり。

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