第6話 恐怖!覆面怪人!!

 仮面をつけると、人は凶暴になる。


 あれから、3年経つ。


 いつ外せるかどうかわからないまま、久しぶりに、とある目的で、丸善に、東京駅近くの、あの場所へ行った。


 ごん。


 ひとりめ。


 ごん。


 ふたりめ。


 どん。


 三人目。


 どん。


 4人目。


 どんっ。


 5人目。


 次々と、謝らないで、去っていくのは、全員、マスク、覆面をしている人だった。


 けして、覆面をしている人全員が、凶暴なわけではない、とは、信じたい。


 だが、しかし。


 最近、気づいたのだ。


 どんどん近づいてきて、絶対に道をゆずらない人。


 人に当たってきて、絶対に謝らない人。


 馴れ馴れしく話しかけてくる人。


 みんな、マスクをつけているのだ。


 正直、恐怖だ。


 私の中で、ロミオとジュリエットの、ロミオは生きていて、正直、バタバタと、黒死病をはじめとした、病、感染病が広まっていた時代だったからこそ。

 不思議と最近、ロミオが、顔を出す。


 「ベローナから来た、ロミオってもんだけど、今日は、仮面舞踊会かな」。


 おそらく、普通の人にとっては、ロミオのセリフがするっと出たり、ロミオとして振る舞っている私の方が、奇妙で、変わっていて、この感覚のほうがおかしいのかもしれない。


 でも。


 感染病で、どんなに不潔な環境で、精神的に絶望的な環境でも、人は、ひとつの民族を根絶やしにすることは、できなかった。


 果たして、人間は。


 本当に。仮面をつけるだけで凶暴になれるのだろうか。


 実は、みんな、元から凶暴で、仮面、覆面をつけることで、元からある暴力性が、顔を出すんだろうか。


 私だって、凶暴じゃなかったことが、なかった、とは言い切れない。


 誰もが、昔は子供だったのだから。

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