第23話 最強パーティとの出会い

「そうだ我々が日本最強のパーティ紅である」

 と大剣を背負った男が言う。


「パンティ紅」と佐伯さんが呟いた。


「赤い下着って言ってるな」と俺はツッコんだ。


「お久しぶりですわね。坂本様」

 と姫子が言って、微笑んだ。


 大剣を背負った男が坂本らしい。

 坂本はザ柔道をやってました、という顔をしている。耳も潰れているし。


「おぉ、姫子嬢だったか」と坂本が言う。


「嘘つけよ。遠目で大きなハンマーを見て姫子ちゃんがいるって浮れてたじゃないか」

 と2つの刀を腰に差した男が言った。


「お久しぶりです。井上様」

 と姫子が挨拶をする。


 井上は背が低い。でも顔は二十代後半ぐらいの老け方だった。


「やぁ。姫子ちゃん久しぶり」


「お久しぶり」と佐伯さんも挨拶している。「元気だった?」


「君とは知り合いじゃないよね」と井上が言う。


「何をおっしゃいますか。入り口で私達に喋りかけて来たじゃないですか」と佐伯さん。


「……にしてもフランクすぎるだろう?」と井上。


「えっ。井上さん。髪切った?」と佐伯さん。


「髪型のこと触れるぐらいの知り合いじゃねぇーんだよ」と井上が言う。


「俺は先週髪を切った」

 と大剣を背負った坂本が言う。


「おめぇーには聞いてねぇーわ」

 と井上。


「そう言えば君達は入り口にいた高校生カップルよね? どうしてココまで来たかわからないけど、次の層から今までの魔物とレベルが違うわ。危ないから引き返しなさい」

 と魔法のステッキを握った女性が言う。


「私達なら大丈夫です」と姫子が言った。

「ご心配していただき、ありがとうございます。三宅様」


 魔法のステッキの女性は三宅というらしい。

 気が強そうな女性である。


「姫子ちゃんしか武器を持ってないじゃないの? 貴方が1人で他の三人を守りながら下の階に行くつもりなの?」

 と三宅が尋ねた。

 

 どうやら俺が受付で若旦那様と言われていたことを3人は聞いていなかったらしい。ただの高校生カップルと思っているらしかった。


「私も武器を持ってるであります。隊長」

 と佐伯さんが言って、魔力砲をリュックから取り出した。


「こんな子を下の階に連れて行ったら即死案件よ」

 と三宅が言う。


 たしかに佐伯さんは即死案件である。


「俺達が守ってあげよう」

 と坂本が言った。


「ダメ。私達だって、自分達の身を守るのに必死なのよ」

 と三宅が言う。

「配信したいだけなら帰った方がいい。命を無駄にするわ」


「大丈夫ですよ。私達は私達で行きますんで」

 と姫子が微笑みながら言った。


 そして姫子が歩き始めた。


「ちょっと待って姫子ちゃん」と三宅が言う。

「もう」

 と魔法のステッキを握ったお姉さんが溜息をついた。

「少しだけなら付いて行ってあげる。だけど満足したら戻りなさい」と三宅が言った。





【バズらにゃ死ぬでお馴染み佐伯の探索チャンネル、配信中のコメント欄】


『どこの誰がコイツ等を紅じゃないって言ったんだ? もろ紅じゃん』


『赤い下着』


『赤いきつね』


『紅って最高到達は何階?』


『知らん』


『配信してないから知らない』


『20階層』


『20階層にボスがいることを証言。ラストダンジョンから見たことも無い魔法具を持って有名へ』


『一時は姫子チャンネルに頻繁に出てた模様』


『魔王君より確実に雑魚定期』


『坂本と姫子ってデキてたんじゃなかったけ?』


『姫子ちゃんのファンです。それは誤報だと思います』


『昨日の配信、3万👎おめでとう』


『㊗️』


『姫子はビッチ』


『ビッチザ姫子』


『坂本とデキていた報道はあった』


『姫子は誰とでもヤるな』


『姫子ちゃんは純情』


『我等の魔王様が』


『佐伯さんとデキてほしい』


『昨日の宿泊は佐伯さんと魔王が一緒だった。2人の方が濃厚』


『姫子ちゃんは、そんな子じゃない』


『俺の佐伯さんが。チャンネル解除してやる』


『魔王ヤリチン説』


『坂本→姫子→魔王。この三角関係どうなるのか?』


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