バズりたい超美少女配信者の佐伯さんと無自覚最強の魔王君 〜ラストダンジョンが俺の家な件〜

第16話 キスしまくる部屋

　大きな扉を開けると、そこは大量の便器が並ぶ部屋だった。

　天井にも便器が設置されている。

　広々とした部屋に便器が何十個も設置されているのは異様である。

「なんじゃこりゃぁぁぁ」と佐伯さん。「めっちゃウンコし放題じゃん」

「便器に見えるけどコイツの歯だぞ」

　と俺が言う。

　佐伯さんが便器の蓋を開ける。

「なんじゃこりゃ」と彼女が叫んだ。「ウンコさんを気張るための穴が無いやないかー」

「だから歯だって」と俺が言う。

「すごいですわね」と姫子が言う。

「そろそろ咀嚼が始まるから、屈め」

　と俺が言った。

　天井が落ちて来る。

　俺は彼女達が潰されないようにバンザーイの体勢で天井を受け止めた。

「なんですのコレ」と四つん這いになりながら姫子が先に進んで行く。彼女は大きなハンマーを引っ張っていた。

「楽ちぃ。キャハ」

　と佐伯さんが言いながら、四つん這いに進んで行く。

　進んだ先には幾つもの扉があった。

「ちゃんと同じ扉に入れよ」

　と俺が言う。

　扉は全部で５つ。

「色んなコースがあるよ」と佐伯さんがカメラを回しながら叫んでいる。

　扉には文字が書かれている。

「なんか文字が書かれてますわね」

　と姫子が言った。

「一緒に入った人と文字に書かれていることをしなくちゃいけないんだ」

　と俺が言った。

　別に壁を潰せばいいだけのことなんだけど。

「１人で入った場合はどうなりますの？」

「人に化けた魔物が出現する」

　と俺が言う。

「えっと右から『舐め合う扉』『殺し合いをする扉』『入れ合う扉』『キスをしまくる扉』『手足を切り取り合う扉』」

　と佐伯さんが扉に書かれている文字を読む。

「魔王様、それじゃあ私たちは入れ合う扉に入りましょ」

　と姫子が言った。

「絶対にダメ」

　と佐伯さん。

「私と魔王君が手足を切り取り合う扉に入るんだから」

「どれでもいいから全員、同じ部屋に入るぞ」

　と俺が言った。

　俺なら簡単に壁を潰すことができる。

「変態」と佐伯さんが叫んだ。「みんなと舐め合いたの？　バカじゃないの？」

　まだ咀嚼は続いている。

「早くしないと勝手に扉が開くぞ」

　と俺が言った。

　言っているそばから５つの扉がパカッと開いた。

　そして俺達がいる床が傾き始めて、扉に吸い込まれて行く。

「キャーーー」と姫子の叫び声。

　俺は彼女を助ける、と約束してしまった。

　佐伯さんを見る。

『キスをしまくる扉』の中に入って行った。

　あの部屋なら、壁が壊せなくても死ぬことはないだろう。

　カメラを握りしめた風子も『キスしまくる扉』の中に入って行った。

「助けて魔王様」

　と姫子が腕を差し出した。

　俺は彼女の腕を掴んだ。

　そして姫子と一緒に『舐め合う扉』に入ってしまった。

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【キラキラ姫子の探索チャンネル、配信中のコメント欄】

『だから俺は建物の中に入るのは反対だったんだ』

『姫子ちゃん、どこの部屋に入っちゃったの？』

『魔王、嫌い』

『姫子は魔王の前でキャラが少し変わってる。炎上案件』

『最悪のコラボ』

『バカ女と風子が同じ部屋に入った模様』

『キスしまくらないと出れない部屋』

『姫子ちゃんどこ行ったの？　無事なの？』

『姫子ちゃんの様子がわからない』

『ひめこちゃ〜ん』

『ポケ○ンのくだりからイヤな予感がしてたんだよ』

『助けてくれたのはありがたいけどコラボはあつかましぃ』

『同接は増えている模様』

『キスしまくる部屋はキスしないと次の扉が開かない模様』

『２人でキスしまくるの？　それはちょっと興味あり』

『風子ちゃんはわかってる。カメラを置いて、ちゃんと２人が向き合っているシーンが見えるようにしてくれている』

『なんか興奮してきた』

『佐伯も黙ってりゃあ美人』

『見つめ合う２人』

『姫子ちゃんは、どの部屋に入ったんだろう？』

『１人で殺し合う扉に入っていないか心配』

『それでも舐め合う扉と魔王と入っているよりマシ』

『絶対にキスしてください』

『風子が目を瞑った』

『いよいよ腹を括ったか』

『動かん』

『２人が動かなくなった』

『画像かな？』

『防御魔法のくだり、めっちゃキモかったわ。あれも炎上案件』

『佐伯さん、胸がモヤモヤするのは恋なんじゃないか？』

『気のせいですわ』

『なんか佐伯さんから舌が出てきたｗｗｗｗｗｗ』

『佐伯、最高ｗｗｗｗｗｗ』

『あっかんべーしてるｗｗｗｗｗｗｗ』

『キスの概念を間違えてる佐伯』

『舌ｗｗｗｗｗ』

『舌を出しているのに気付かず風子が顔を近づける←めっちゃ実況中継してるｗｗｗｗ』

『なんで風子は目を開けた』

『もうちょっとだったのに』

『風子のビンタ』

『佐伯が踊り出す』

『カオス』

『早くキスせぇー。こっちは待っとんじゃ』

『姫子がいないのに、一番の盛り上がり。同接が１００万人突破した模様』

『そりゃあ風子キレるわ』

『また風子が目を閉じるｗｗｗｗ』

『いや、目を閉じたら、佐伯はやるだろう』

『また佐伯の舌が出てきた』

『舌ｗｗｗｗ』

『再放送が早すぎる←魔王風』

『ちょっと佐伯のこと好きになり始めてる自分がいる』

『風子ちゃん、なぜ目を開ける。そのままキスお願いします』

『舌を掴まれる佐伯さん。可愛ちぃ』

『風子ちゃん佐伯さんの舌を引っこ抜かないで』

『姫子ちゃんはどうしているんだろうか？』

『姫子がいなくても面白い』

『ひめこちゃ〜ん』

『早くキスせんかーい』

『まずはハグからね』

『きゃーーーレズってる』

『百合展開キターーー』

『まだ関係が築けていない２人がギコちなくハグしているのが尊い』

『２人、顔真っ赤』

『佐伯ちゃんのホッペからチュー』

『はじめてのチュー』

『君とチュー』

『なんちゃらなんちゃらフォーエバー』

『興奮する』

『見てれん』

『お互いギコチなく頬にチュー』

『キャーー』

『姫子ちゃんは大丈夫なのか？』

『早く口にチューして』

『チュー』

『わぁわぁわぁ』

『なぜかドキドキしている自分がいる』

『俺、佐伯派』

『風子派』

『舌出すサービスがあったから佐伯派』

『ついに唇に』

『ｗｗｗｗｗｗｗｗ』

『チュ』

『扉の確認が早いって』

『スズメのチュじゃ扉が開かない模様』

『２人の顔が真っ赤』

『もう佐伯もフザけることができないほど照れている』

『かわちぃ』

『二人とも可愛い』