第13話 仲間が増えました

 姉の風子が目覚めた。

「ココは?」

 と風子が辺りを見渡した。

 20歳ぐらいの女性である。黒髪でショート。ボロボロの防具。 


「こーんにーちわー」

 と佐伯さんが大声を出す。


「錦鯉をするんじゃねぇーよ」と俺が言う。

 錦鯉というのは芸人さんである。


「ココはラストダンジョンの休憩所だよ。休憩所ってなんやねん、って気持ちはわかる。全ての説明を私が一発で終わらせるね。カクカクシカジカ」


「その説明で許されるのはコロコロコミックだけだぞ」

 と俺が言う。

 

「わかったわ。アナタ達が助けてくれたのね。ありがとう」

 と風子が言った。


「伝わってるし」と俺が呟く。


「お姉様は、察しがいい人なのですわ」と姫子が言った。


「あの地龍を倒したってことは相当な実力者みたいね」と風子が言う。


「影の実力者になりたくて」

 と佐伯さん。


「思ったことをそのまま言葉にする癖をやめろ」

 と俺が言う。


「コチラの魔王様が一撃で地龍を倒してくれましたわ」と姫子が言った。


「一撃? 魔王?」と風子が考える。

「まさかラスボス? でも制服だからラスボスの息子さんってところかしら? 息子さんが地上の高校に入学して、たまたまクラスメイトに配信者がいて、一緒に実家に着いて来たって感じ? 映えるから制服なのね」


「察しが良すぎるだろう」と俺が言う。


「コチラの女の子は、バズらにゃ死ぬでお馴染み佐伯の探索チャンネルさんね」


「やっほーーーーーーーーーーーい。知ってもらえていた。握手握手」

 と佐伯さんが言って風子に握手を求める。


「配信もしていないのに、テンションが高いわね」

 そう言って風子は何かを思い出す。

 カメラ! と彼女が言ってカメラをイジリ始めた。

 そして魔石充電器にカメラを接続する。魔石から充電する機械である。魔石はエネルギーの塊なのだ。


「良かった。ただの電池不足みたい。カメラは壊れてないわ」

 と風子が安堵の溜息を漏らす。


「それで」と俺が言った。「地上に出るなら他の探索者に出会うまで付いて行ってやるけど」


「いや」と風子が言う。


「私達の目的地は10階なんです」と姫子が言った。


「アナタ達はどこに向かってるの?」と風子が尋ねた。


「実家」と俺が答える。


「……付いて行っていいかしら?」

 と風子が尋ねた。


「お姉様、ご迷惑ですわ」

 と姫子が言う。


「これは配信者として付いて行かないといけないのよ。絶対にバズる。絶対に逃してはいけない」


「魔王君の家に付いて行くのは私の企画だーい」

 と佐伯さんが言った。


「それじゃあコラボしましょうよ」

 と風子がニヤっと笑った。


「グヌヌヌヌヌ。美味しすぎる。美味しすぎるぜよ。魔王君の家まで200万人登録者とコラボしながら配信ができる。……でも同じ時間に配信してしまったら視聴者の奪い合いになるんじゃないの? 無理だ無理だ。騙されるところだった。危ねぇーーー」


「それじゃあこうしましょう。配信は半分づつ。私達の視聴者が確実に佐伯さんのところに流れるはずよ」


「採用」

 ベン、と佐伯さんが床を叩いた。

「これは書類にハンコを押してるイメージで床を叩いてるの」


「これで決まりね」


「勝手に決めてんじゃねぇーよ」

 と俺が言った。


 姫子が俺の腕を掴んだ。

「魔王様、よろしくお願いしますわ」

 ニッコリと姫子が笑った。


 人気者と仲良くなれば友達ができる。


「仕方がねぇーな」と俺は言った。

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