第6話 混浴
露天風呂にパンツのまま入るという非常識なことを俺はしている。
源泉掛け流しとはいえ、パンツごと入るのは汚い。だからパンツごと体を綺麗に洗った。
彼女は大きなリュックから三脚を取り出し、配信中のスマホを露天風呂の洗い場にセッティング。
そして佐伯さんはピンクのビキニを着替えて、現れた。
出るところは出ていて、脚や腰は引き締まっている。
プリンのように胸が揺れていた。
思っていた以上に肌の露出が多い。
露天風呂の温泉で体を洗って、彼女が足のつま先から入って来る。
ゴクンと俺はツバを飲んだ。
「それでは質問コーナー」
と彼女が言った。
ぱちぱちぱち。
と彼女が拍手をする。
何が始まっているのか俺には訳がわからなかった。
三脚に繋がったスマホの画面には俺達が映っていた。内カメラにしているみたい。画面には文字が現れては消えていく。
「私はラストダンジョンに来ています。ラストダンジョンはなんと魔王君の実家であります。皆様色んな質問があると思います。出来る限り質問に答えていきたいと思っております」
バライティー番組みたいなテンションで佐伯さんが言う。
急に、そんなことをされても付いて行けないって。
「魔王君は佐伯さんのことが好きなんですか?」
と佐伯さんがスマホの文字を読み上げる。
「……」
「ちゃんと質問に答えないと」
と佐伯さん。
「あっ、はい」
「好きみたいです」
と佐伯さんが言う。
「いや、好きっていうか、友達になりたいっていうか」
「好きでいいじゃん」
「それじゃあ好きです」
と俺は言った。
体が急に熱くなった。
「魔王君のチ○ポコはギンギンですか?」
と佐伯さんがスマホの文字を読み上げた。
「もちろんギンギンです」
と佐伯さんが答える。
「ギンギンじゃねぇーよ」
と俺は言う。
「どれぐらいのサイズですか?」
と佐伯さんが文字を読み上げる。
「ペットボトルのキャップぐらいのサイズかな」
と佐伯さんが言う。
「見たことねぇーだろう。大きい方だわ」
と俺が言う。
「魔王君のチ○ポコはギンギンですか?」
と佐伯さんが文字を読み上げる。
「同じ質問をしてるんじゃねぇーぞ」
と俺は言った。
「ギンギンです」
と佐伯さんが言う。
「ギンギンじゃねぇーわ。再放送が早すぎるわ」
「魔王君のチ○ポコはギンギンですか?」
と佐伯さんが文字を読み上げる。
「もういいもういい。マジで勘弁してくれ。なんで佐伯さんの視聴者は俺がギンギンかどうか知りてぇーんだよ」
「今、アレを出したところなので萎えました」
と佐伯さんが答える。
「萎えてねぇーわ。いや、萎えてるわ。ずっと萎えてるわ。はなから萎えてるわ」
「佐伯さんと魔王君の出会いを教えてください」
と佐伯さんが文字を読み上げた。
ようやくまともな質問が飛んで来た。
「魔王君と出会ったのはある寒い日。私は街行く人達にマッチを売ってたんだ。こんなところで商売をしてんじゃねぇーぞ、とガラの悪い男に出会って、助けてくれた人がいたんだよ。それが魔王君との出会いだよ」
と佐伯さんが言った。
めっちゃ嘘を語るじゃん、と俺は思う。
「あの時はありがとう」と佐伯さん。
「いや……全然、身に覚えがねぇーよ」
「もし魔王君が商売してんじゃねぇーよ、って喋りかけてくれなかったら今頃まだ私はマッチを売ってました」
「俺、ガラ悪い方じゃん」
「2人は付き合ってるんですか?」
と佐伯さんが文字を読み上げる。
「どうなんですか? 私達は付き合ってるんですか?」
そんな関係じゃねぇーよ。
「まだ」と俺が言う。
「まだでした」
と佐伯さん。
「まだってことは付き合うんですか?」
と佐伯さんがスマホの文字を読み上げる。
「かも」
と彼女が言う。
俺はお湯をすくって、顔面にかけた。
「照れてやがる。コイツ照れてやがる」
と佐伯さんが茶化してくる。
「照れてねぇーし。付き合うかもしれない、って言うのは、どんな女の子に対しても言えることだし」
と俺が言う。
「魔王君の好きなところを教えてください」
と佐伯さんがスマホの画面を読み上げる。
「お金持ちのところ。あとお金持ちのところ。それとお金持ちのところ」
「金目当てじゃねぇーか」
と俺が言う。
「佐伯さんの好きなところを教えてください」
と佐伯さんがスマホの画面を読み上げる。
「えっ」と俺は戸惑う。
「早く答えて。質問がじゃんじゃん来てるんだから」
「明るいところ。面白いところ。可愛いところ。あと素直なところ」
と俺は慌てながら彼女が魅力的に感じるところを言った。
「めっちゃ言うじゃん。照れちゃう」
と佐伯さんが言う。
「私はお金目当てなのに」
「魔王君のチ○ポコはギンギンですか?」
と佐伯さんがスマホの文字を読み上げた。
「ギンギンです」
と佐伯さんが言う。
「もういいわ」と俺が言う。
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