無常観があるなあ…何という言い表し難い空気感の漂う短編でしょうか。
銀閣は江戸時代まで銀閣とは呼ばれていなかったっぽい説もあり、銀をケチったという説も後付けとも言いますが、事実はよほどの文献が出てこない限り解り得ません。
諸説あるのはさておき、一休禅師がこの世に未練を抱き世を去り、将軍義政は未練があればこそ満足して世を去り、妻富子が最早会う事の無い夫に未練を抱いて完成した堂で過去を偲ぶ。その舞台が雪の中の銀閣。
題が「六花とけて」。
珠玉の一篇を味合わせて頂きました。
作者からの返信
お星さま、ありがとうございます。
何というか、「わび」「さび」って何で出て来たんだろうと考えたことがありまして、その時のモヤモヤを元に書いたようなお話です^^;
だから無常とかそういう空気感というお言葉を頂戴すると、嬉しくなります。
銀閣の「銀」、たしかに謎ですよね。
やっぱり金閣という偉大な存在に引っ張られて、こういう名前になったのでは、と思います。
この時代、戦国というグツグツと、ギラギラとした時代を迎える前の時代、なんというか「わび」であり「さび」である雰囲気の時代を描きたかったのです。
人物では、一休、義政、富子で。
アートでは、雪中の銀閣で、そういうのを表したかったのです^^;
……珠玉、という一言を頂戴し、恐縮と共に感激の想いです。
ありがとうございました!
ああ、そうか。銀閣寺の完成は義政さんが亡くなった後でしたね。
そして富子さんいつ出てくるのかな?と思っていたらラストの話に……!
悪妻として描かれることの多い彼女ですが、いやはや痺れました。夫婦の仲をあれこれ言うのは野暮な話ですが、決して仲の良い夫婦ではなかったかもしれないけれど、なんだかこういい夫婦だなぁと。しみじみしちゃいました。
作者からの返信
お星さま、ありがとうございます。
義政さん、結局、竣工(?)までは生きていられませんでした。
でも、そういうところも義政さんらしいというか、これはこれで良しと思ってそうだなぁ、と^^;
富子さん、最初は出さないつもりだったんですよ(おい
でもこの人を抜きにして、この時代を語るというのも……^^;
まあ、いろいろあるけど、別にべったりしてなくても、距離を置いた関係であっても、互いに認めるとこは認めていたんじゃないか、と思うのです、富子と義政。
富子さんも、悪女とか言われていますけど、視点を変えると、彼女なりに幕府というか政治というか、その辺を支えていたんじゃないか、と思いまして^^;
ありがとうございました!
拝読致しました。
史上、名を残した人たちが主人公リレーで綴る物語、面白かったです(^^)
義政さん、大衆的な感性よりも己の美学を取ったのですね。作品が未完成な状態で、その完成形を心で見て得心している在り方が芸術家らしくて良いですね。晩年を汚した玄宗皇帝との違いを見せつけます。
最後の日野富子も、様々な毀誉褒貶を受けながら、自分を信じ泰然としている風格があって、これも良かったですね。
それぞれ、独特のキャラが回ごとに光る、素敵な物語と感じました(^^)
ありがとうございました。
作者からの返信
お星さま、ありがとうございます。
この時代、あまり知られている人がいないという難点ありまして……そういう裏事情からの、著名人によるお話リレーでした^^;
足利義政は、いろいろ言われていますが、少なくともその「美」を追い求める姿勢については、見るべきものがあると思うのです。
日野富子も、いろいろと言われていますが、彼女は彼女なりに、幕府や天下をマシにしようと動いていたのでは、とも思うのです。
この時代、ごちゃごちゃとして分かりづらいし(笑)、誰しも悪役として演じる羽目になったシチュエーションのせいで、いろいろな人物が「悪」のイメージで固着してしまった観があります。
その辺をうまく……「そうじゃない面もあるんじゃないか」と思わせるような、そんな話を書きたかったのです。
「素敵」とおっしゃっていただいて、とても嬉しかったです^^;
ありがとうございました!
楽しく読ませて頂きました。そう言えば、一休さんは、小坊主?時代は将軍義満は生きてたので、会ってるかも?(笑)
作者からの返信
お星さま、ありがとうございます。
一休さんの小坊主時代、まさにアニメ一休さんですね(笑)
あのアニメの将軍義満、好きなんです^^;
ちょっととぼけてて、意地悪だけど、締めるところは締めるし、言われて反省するし、何か憎めない人だなぁ、と(笑)
ありがとうございました!
遅ればせながら読了です。
この時代は守備範囲外ですが楽しかったです。
同じく日野富子は世間で言う程悪女ではないと思っております。
室町時代は研究が進み、ステレオタイプとは真逆の評価も多いだけに、こういった人物像は嬉しく思います。
作者からの返信
お星さま、ありがとうございます。
国虎さんの話の、ちょい前(?)ぐらいの時代ですよね^^;
富子さんはまあ、いろいろ言われているけど、もしかしたら財務大臣的な役割を負っていたのかなぁ、という私の妄想を元に書いてみました(笑)
室町時代はホント、複雑でわかりづらいから、みんな敬遠していると思います。
でも、よーく調べたり考えたりすると、「お!」と思えることが思いついたりして、結構楽しいと感じます^^;
ありがとうございました!
最後は富子さんも出て来て豪華な顔ぶれになりましたね!
銀閣建造がニューディール政策みたいな側面を持っていたとは知りませんでして!
義政は山荘に銀箔を張る金が無く、完成も見ないまま無念のままに死んだイメージがありましたが、むしろ安らかに亡くなったと思うと感慨深いものがあります。
作者からの返信
お星さま、ありがとうございます。
富子さんを出すかどうかは最後まで悩みました^^;
でも、この人の視点があった方が、陰影ができるかな、と思い、最終的には出てもらいました。
銀閣が経済復興、というのは私の勝手な解釈です^^;
でもあの富子も、金銭は出さなかったけど、止めもしなかったから、やっぱりそういう面もあったんじゃないかなぁ、と思ったのです。
銀箔については、おっしゃるとおり資金不足という説もありますが、今のあの状態が完成形で、銀箔は最初から考えていなかった、という説もあります。
拙作では、どっちにするか悩んだあげく、今のあの状態にした、という折衷案を採用しました^^;
そして、その、あるがままに……という心境で逝った、と。
ありがとうございました。
日野富子さん✨ 実は「賢いヒロイン」を富子さんでいこうかな? と考えたくらい好きです。(尤も、時間も力もなくて妄想で終わりましたが……)
なので四谷軒さんの描く、深みと格好良さがある富子さんが読めてとても嬉しかったです。
そして夫を慕わしく思っていた部分は新鮮で、でもこんな関係だったら素敵だなぁと思いました。
全編を通して、静かで色彩が美しくて、心地よい重さがあって癒されました( ˊᵕˋ* )
作者からの返信
お星さま、ありがとうございます。
富子さんが「賢いヒロイン」!?
その手があったか!(笑)
……いろいろ言われる富子さんですが、彼女は彼女なりに頑張っていたところがある、と思ったのです。
この人がお金を貯めていたおかげで、内裏も建て直しできたし。
言われるような守銭奴だったら、帝にお金出しませんし(お金を出したせいか、帝と密通していたと言われるとか……ホント、酷い扱いです)。
義政さんに対しては、たしかに距離はあったと思いますけど、独力で銀閣を建てたり、それが公共事業の性格を帯びていたとしたら、少なくとも「戦友」と思っていたのかも……という想像です^^;
それがあの銀閣に包まれながら、わび茶の祖・珠光さんのお茶をいただきながらだと、なおさら「もっと話をしておけばよかったなぁ」と感慨にふけったのでは。
癒されたとのコメントをいただき、まことにありがたいです。
まさに、そういう風な作品になればいいな、と思って書きましたので^^;
ありがとうございました。
編集済
こんばんは、御作を読みました。
退場者多いなっ。主人公が冒頭で亡くなったよ(⌒-⌒; )
富子さんは芸術狂いの旦那を支えて、幕府を切り盛りしていたので、巷に伝えられるような悪妻ではなかったと思っています。
いえ、仮に俺は芸術をやってるんじゃない、日本文化を作っているんだ!
が紛うことなき歴史上の真実だったとしても、日本国傾けた張本人の奥さん呼ばわりされるんじゃ、ふざけんじゃねーぞ旦那! と銀閣への出費を断っても残当としか思えない……。
穏やかな彼女の独白、銀に染まるラストシーンが印象的でした。
作者からの返信
やっぱり銀閣となると、義政さん死後完成なんで、サヨナラしてしまうのは仕方ないのです(笑)
一休さんも、さすがに寄る年波には勝てないし、この人は死ぬ前の「死にとうない」こそが、一番切れ味のある台詞だと思いますし^^;
富子さん、まあ夫が夫だから、自分がやるしかないという状況に追い込まれたんでしょうね。
幕臣を見ても、山名宗全とか細川勝元とか、有能だけど火種な人たちしかいないし(笑)
……こんな状況で、しかも応仁の乱のあとに「銀閣作りたい」とか言われても、そりゃあそんなお金ないよ、というか人もいません、と返事せざるを得ません。
まさに残当(笑)
それでも義政が銀閣を作ったということは、富子にも、義政の銀閣にかける想いぐらいは響いたんじゃないでしょうか。
でももう、亡くなったあとだから、もう喧嘩もできない。
それだったら、お茶一杯ぐらい一緒に飲んでも良かったね……と、そういう感慨にふける瞬間が、富子さんにもあったんじゃないかなぁ、という想像です^^;
ありがとうございました。
編集済
自主企画に参加いただきありがとうございました。
悪女として語られることが多い富子をこのように描きましたか。
天下一の茶人の茶を飲みながら亡夫を偲ぶ。
二人の間には二人だけに通ずるものがあったのかもしれませんね。
作者からの返信
こちらこそ、お星さまありがとうございました。
富子さん、私はどうしても大河ドラマ「花の乱」のイメージが強くて……^^;
それなりに一生懸命だけど、空回りしたり、誤解されたり、はたまた富子さんそれは貴女が悪いよというところもあったり(笑)
……悪女と言われればそれまでだけど、やっぱり、見るべきところはあったんじゃないかなぁ、というところを、チラッと描いてみました^^;
義政も、褒められた夫じゃないと思いますが(笑)、それでもこの夫婦は、彼らなりに藻掻いて生きて来た。
死別したあと、富子が振り返ると、夫というか戦友というか、そんなパートナーへの想いがこみ上げて来た、というところです^^;
まあ、生まれた時代が悪すぎましたが、それでも懸命に生き、その生き様を共有した二人だと思います。
ありがとうございました。
2話までで「富子出て来ないのかな」と思っていたら、3話が富子のエピソードでしたか。
ほんとに、いろいろあった夫婦の、旅路の終わりの物語で、感慨深いものがあります。
しかし。
やっぱり、新九郎さん、いるのね。
おもしろかったです。
作者からの返信
お星さま、ありがとうございます。
富子どうしようか悩んでたんですよ(笑)
出さないまま、2話で終了というのが初期プロットでした^^;
……でも、この人出さないと、やっぱり「座りが悪い」と思いまして(笑)
あとは、いろいろと言われる、義政と富子の、それなりに政治も頑張っていたんだよ、というところを強調してみようかな、と思ったんです。
やらかしは多いですけど、まあ、ちょっとは、そういうところもある、と^^;
新九郎さん、まあ、この時代のそういう上澄みみたいななのを見て、そして風雲に……というのをチラッと匂わせたかったのです(笑)
ありがとうございました。
とても読み応えのある作品で、さすがですね。
堪能いたしました。完結おめでとうございます。
作者からの返信
お星さま、ありがとうございます。
恐縮です。
何というか、あの時代の――銀閣に代表される、あの時代の空気が描ければなぁ、と思って書きました^^;
おかげさまで完結いたしました。
ありがとうございました!
日野富子さん登場!
この時代はあまり詳しくなく誰の奥さんだっか正直ちゃんと覚えてませんでした
守銭奴のように言われる彼女の真の姿を見たようです!
銀閣寺をあまりちゃんと見た記憶が無いのですが
気になってきました
作者からの返信
日野富子さん、いろいろと言われる人で、扱いに困って、出すかどうか悩みました^^;
でも、彼女なりに考えていたこともあるんだろうな、と思い、出すことにしました。
銀閣、私も金閣のインパクトが強くて、実はあまり思い出せませんでした(笑)
また京に行って、ちゃんと見てみたいものです^^;
ありがとうございました!