第18話 自宅に隠しカメラ設置

 僕たちが子供のころに流行っていた作品のリメイク映画が公開されるというニュースを見てからそわそわしていた真央。あいにく僕は見たことがない作品だったので、真央と一緒に行っても同じくらいの熱量で盛り上がれないと諦めた。

 その映画が公開してすぐくらいにその作品が好きだと言っていた友達と連絡を取り合い、一緒に映画を観に行くことになったそうだ。せっかく会うからお昼ご飯も友達と食べてきていいかと聞かれ、僕は二つ返事で楽しんでね、と返したのだ。


「真央が帰ってくるまで5時間ってとこか」


 本当に友達なのか、実は不倫相手なのかはわからない。だが、1人でやると決めた以上、手が足りない分は優先順位の低いものを諦めることにする。今の最優先は、隠しカメラを設置することだ。

 真央が出かけるのを送り出した僕は、隠しておいた隠しカメラの箱を取り出す。真央が1人で出かけるまでなんとかバレずに隠し通せてよかった。

 1つ目の梱包を開ける。入っていたのは、コンセントに差すAC-USBアダプター型の隠しカメラだ。見た目だけでは、普通のAC-USBアダプターにしか見えない。


「これはリビングのソファが見える位置のコンセントに差しているものと取り替えてっと。」


 リビングでスマホやデジタル機器を充電するときに使っている充電ケーブルの根本。コンセントに差していたAC-USBアダプターを抜き、隠しカメラ機能がついているAC-USBアダプターを差す。

 スマホから隠しカメラに接続し、映像を確認。しっかりとソファに座った自分が映っていることにびっくりする。


「思った以上に画質がいいな、これ」


 充電ケーブルを隠しカメラ機能付きのAC-USBアダプターに差し、充電できることも確かめておく。すごいのは、カメラ機能があるだけでなく、ちゃんとAC-USBアダプターとして使えるところ。これはバレにくいだろう。


「次は、延長コード型だね。延長コードは寝室用にっと」


 2つ目の梱包を開け、延長コード型の隠しカメラを取り出す。1つめのAC-USBアダプター型と同じく常時コンセントに差さっているから、電池切れとは無縁なのがいいところ。

 寝室の片隅に置いた小さなデスクにつけた延長コードが入れ替え対象だ。延長コードにつながっている電源ケーブルを抜く。延長コードもコンセントから抜き、隠しカメラ機能付きの延長コードを差す。

 こちらもスマホで映像を確認。


「こっちもきれいにベッドが映ってるね。よしよし」


 元々使っていた延長コードを持ち、寝室を出る。

 次はキッチン。なんだけど、3つめの梱包とドライバーセットを持っていく。

 3つ目の梱包を開けると、中身はコンセント。この家は冷蔵庫置き場が大きく、冷蔵庫用のコンセントが表に出ている。リビングはキッチン越しに見ることにした。

 キッチンのブレイカーを落とす。それからコンセントのネジを外し、コンセントを外す。ケーブル類を外して元のコンセントを取り外す。購入した隠しカメラ機能付きのコンセントを取り付ける。一度ブレーカーを上げ、通電を確認したら、カバーをつけてネジを留める。


「これで完成っと。はてさて、バレずに撮影し続けられるかなー」


 開けた梱包やドライバーセットを片付ける。ここまでの所要時間は3時間ちょっと。真央が帰ってくる前に設置することができた。僕はワクワクしながら真央の帰りを待つ。

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