第14話 まずはビール、それから、特上に・・・

 ワインと料理が来るまでの休憩の後、岡原名誉教授が先ほどの話の続きに。


・・・ ・・・ ・・・・・・・


 さあ、諸君、いよいよ、天下の新大阪ホテルの寿司にありつくときゾ、来タリ!

 寿司コーナーは、デッキの扉を開いてすぐのところにありました。


 渡辺君が先に入ったと同時に、威勢よく「へい、ラッシャイ!」ときたものよ。

 天下の新大阪ホテルやろがぁと毒づきたくもなったが、まあええわ。


「お飲み物、何されますか?」


 そんなに混んでいる時間帯でもないから、飲み物聞かれたよ。

 忙しい時間帯ならそうでもないのか知らんが、混んでなかったし、何といっても渡辺君はともかく私だよ、私。

 いかにも寿司屋に酒飲みに来た客みたいに、見られたのやないか(苦笑)。


「ほな、タイショー、ビールまずは大瓶1本と、グラス2つや」


 でもってすぐにビールが出された。おっさん、そっちで飲む気初めから満々やったろぅと思われているかしれんが、実は、そのとおりである(爆笑)。

 まあその、日本食堂で飲みつぶれてもしゃあないからな。


 というわけで、困った食通客とそれに十分応戦できる若いおにいさんとで、まずは乾杯と相成った。で、メニュー、もとい、品書きを見回して、やね、今度は、特上握りを行くことに相成った。

 ついでに言えば、あちらではなかった「アナゴ」が入っておるという。

 それも、あの「こはだ」と同じ値段や。

 今ならちと考えられんけど、まあ、ええわ。特上握りに、例によって1人1貫ずつになるように、追加も頼んだ。


 そうこうしとる間に、列車は関ケ原あたりを通過しよったな。

 古戦場を横目というか、背中と調理場の覗き窓越しに一杯飲んで寿司つまんだ。いささか気温も上がっておって、軽く冷房も入っておった。

 これで椅子があれば天国であるが、贅沢も申せまい。

 そうそう、足元には足置きの鉄の棒が設けられておって、これに片足かけたら楽に立って食事ができるという塩梅や。酒なんか飲みよったら、なおのこっちゃ。

 ビールは結局、2人で大瓶2本、飲んだな。


・・・ ・・・ ・・・・・・・


 大垣を過ぎた頃やったと思う。おもろいことが起こりましてなぁ。

 車掌さんがビュフェを通ったの。

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