第32話 初体験女子高生の下半身痙攣【花子の告白】

 あれは私が高校一年の夏だった。もう名前も忘れてしまったけれど、クラスの男子と初エッチを経験することになった。体育館の用具置き場で。オトナのビデオみたいな展開だ。

「いい? いくよ」

 男子は覆いかぶさり、ぎこちない動きで何度も試みながら、ついに挿入してきた。

 その瞬間、下半身に激痛が走った。私は顔をゆがめ、うめいた。必死に逃れようとしたが、男子は力づくで押さえ込んできた。

「痛い、痛い、痛い!」

「大丈夫、慣れるから」

 男子は思いきり、突いてきた。そこで私の意識は浮遊した。まるで幽体離脱したかのごとく、宙を漂う私は格闘技のマウントを取るようなスタイルで交わっている男女をぼんやり見下ろしていた。

 実体の私は白目を剥き、泡を吹いていた。

「おい、しっかりしろ!」

 男子はびっくりして離れようとするが、下半身が合体したままで、アレが抜けない。

「何なんだよ、これ!」

 これが膣痙攣か。都市伝説ではなかったのか。

 男子は四苦八苦して離れようとするが、私も一緒についてくる。

 体育館の入り口から、生徒たちの声が聞こえてきた。

「やべえ! 目を覚ませ! おい!」

 男子は私の頬を何度もビンタしたが、起きる気配は一向になかった。

 用具置き場のドアが開けられた。生徒たちが入ってくるが、私たちの姿はなかった。

 生徒たちは授業で使う、丸められたマットを運び出した。フロアの床に勢いよく転がす。中から転がり出てきたのは、素っ裸の私と男子生徒だった。もちろん、結合したままで。

 私は大勢の野次馬を前にして、担架に乗せられて救急車で運ばれた。

 二週間の謹慎処分となったが、罰はそれだけではなかった。その後の高校生活を絶えず他人の目を気にしながら過ごし、恋人どころか友達さえもできなかった。

 さらに大学時代でも、アルバイト先で……。


                (続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る