第26話 妊婦と全身針治療
その頃、あの妊婦さんはどうなったかというと……亭主とタクシーの運転手とともに、無事に病院に担ぎ込まれたのだった。
ちょうど、院内はまったりと穏やかな時間が流れていた。仕事を終えた女性院長は友人の女鍼灸師に来てもらって、手術室の台の上で鍼治療を受けていた。うつ伏せになった院長は背中からお尻、足まで全身が鍼の山で、まるでヘルレイザーのようである。
「ああ、気持ちいい……これよね、最高のエクスタシー」
いきなりドアが開いて、妊婦を乗せたストレッチャーが運び込まれてきた。産婦人科医と亭主、運転手まで付き添っている。
「院長、どいてください!」
「ちょ、ちょっと待って! 着替えるから、外に出ててちょうだい!」
運転手が割って入った。
「邪魔だ、どけ!」
突き落とされた院長は鍼の刺さった背中から床に直撃し、絶叫した。
(続く)
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