高等部
四月。高等部入学式前日。
目立ちさえしなければ、穏やかに過ごせると考えた。心身を健全に保つため、誰からも関心を持たれないようにしたかった。
高等部には、中等部からエスカレータ式に上がる
自身を、
十月初旬。
いつもと変わらぬ放課後。荷物を鞄に詰めているとき、
「
教室内を見回す<生徒会長>を、前髪越しに目で追う
(
「ご用件は何でしょうか?」
「貴様に用は無い。
あからさまな
<生徒会長>は、容姿が地味だから――その一面だけで
「探しているものすら認識できないとは、その目は節穴でしょうか?」
<生徒会長>は
「……イメチェンされたのですね。失礼しました。
<生徒会長>は言動を
今期は残り半分を切っている。こんな中途半端な時期に、欠員を埋めなければならなくなる事態に至るのは異常。
「折角のお誘いですが、辞退いたします」
<生徒会長>が
「そうですか。仕方ありません……生徒会長権限において、
委員長まで不在とは――<生徒会長>が
「勝手に決めないでください。辞退いたします」
「生徒会会則をご存知ないのでしょうか? 生徒会長からの任命を、拒否することは出来ません」
当然、熟知している。中等部と高等部で然程変わりはない。その会則に則り、
「そないな横暴、とおるわけあれへんやろ。めちゃくちゃやな」
クラスメイトから発せられた、他愛もない嫌味。
「生徒会に対する
「おもろいこと言うなぁ。うちは、なんもしてへんのやし、何もでけへんやろ」
発言者の
「風紀委員長は、生徒会会則に則り、誰に対しても厳正に対処しなければなりません。風紀委員長からの申請に基づき、あなたを一週間出席停止処分とします」
「何言うとんねん! そんな申請出されてへんやろ」
無駄だ。この学校の生徒会は、そういうものなのだ。
<生徒会長>は
「あなたは明日より出席停止です。それでは、ごきげんよう」
<生徒会長>が退室し、
「あいつ、めちゃくちゃなこと言うとったなぁ。気にしたらあかんで」
「<生徒会長>の決定は絶対。だから……
「冗談やんな? なんとかしてや」
残念ながら、
「そんな
十一月十六日。
解任すると、罰することが出来なくなるため、役職を解けないと<生徒会長>が主張していることが原因。罰する目的で
指揮系統は別にある。風紀委員とされている人達は、初めから<生徒会長>の指示により行動しており、
現在の
悪を退治するという大義名分を得て、もっともらしい主張を繰り広げる活動家が現れた。
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