コメビュ
翌日。学校から帰宅。
いつも
『
いつもとちゃう。
(名前教えてへんし、配信したこと、誰にも言ってへん)
それに――<文字列>に名前はあれへん。
『コメビュに名前表示されてるから』
『凸してくれたら、使い方教えるよ。
凸とは、通話すること。
人間と話すのは抵抗ある。そやけど、教えてもらいたい欲が上回る。
「使い方教えて」
「お兄ちゃん、教えて」
「うちの配信やないのに、つい反応してしもた。堪忍な」
【〝ひなまつり〟の
配信画面の上部に載せられた案内文。
「なんでわかるん? わかった。ストーカーや」
配信者が書いたコメントの前に、〝
「名前わかるようなったわ。おおきに」
凸者は、用が済んだら切るルール。
通話終了後は、
次に見る配信探したけど、おもろい配信あれへんかった。
(コメビュの使い方ようわからへんさかい、配信しながら試してみよ。タイトルは『コメビュ練習
コメントの試し打ちしとったら
「コメント打つ練習。さっきコメビュ入れてん」
「名前表示されへん。なんでやろ?」
「何したん? ぐちゃぐちゃの出てきた」
画面に、カラフルな模様が流れる。
「すごいな。そんなんできるんや」
「唐突やな。音痴やさかい、耳腐るで?」
ただ話すだけでも抵抗がある。
「歌うの怖い……」
「……絶対やで? 破ったら、二度と配信せえへん」
画面にぎょうさん可愛い文字が流れる。
「めっちゃきれいやった。おおきに」
「そんなん言われたら、調子乗ってまうやろ」
「伸びんと、懐くだけやけどな。全然上手くなられへん」
「ほな、カラオケ行って練習してくるわ」
「耳腐るで?」
「おっぱいで思い出した! 誰か掲示板に、うちの写真載せたやろ。検索したら出てきた」
「ちゃうわ! 配信画面開くとき検索して、そんとき出てきてん」
「嫌がらせで載せたん? 嫌われてんのなら、配信するの辞めるわ」
「うちが配信したやつやし、好きにすればええんちゃう?」
「報告いらん。キモイわ」
「エロ
「ミュートって、どうやってするん?」
「あった。これか」
「飛んどる番号が変態か」
「勉強になった。色々教えてくれて、おおきに。ぼちぼち
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