第35話 千代田への相談

 おまえが働かなければ,ごはんが食べられない。ごはんを食べるために僕は別の仕事を探すだろう。嫌なら仕事へ行けと千代田に命じた。

 白いごはんを電子レンジで温めていただいた。立ちのぼる湯気のむこうに御歌の姿を認める。

「クーラー,効き過ぎやない?」

「……ほうかな……ちょうどええ」

 御歌がダイニングテーブルの真むかいに座った。

「大丈夫なん?」

「え……何が?」

「3階まで聞こえとったよ。華観ちゃんの声……」

 顔が上気した。

「私から話してあげよか――千代田さんに」

 むっとした。

「心配せんでええ――栄は優しいけん」

「無理せんでええやん。拷問でも受けよるみたいで,かわいそうやった」

 箸を投げるようにテーブルへ置いた。

「どしたん,お行儀が悪い」

「話はなんやったん? 真夜中に来たりして――」

「なんなん,起きとったん? 千代田さんに相談があったけん」

 僕でなくて千代田に用事があったのか!?――嗜虐的な感情が降って湧いた。

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