第19話 やめてやる
「どうか,このとおりです。仰せのとおりになさってくださいませ――」
澤渉が額を床に擦りつける。
「言うこときかんかったら,どうなるん?」
「は……」
澤渉は恐るおそる顔をあげた。
「僕が言うこときかんかったら,どうなるんじゃろか」
「それはもう,私はたいそうなご叱責を――」
「あんたのことなんか,きいとらせん。僕がどうなるんか,きいとるんよ」
澤渉は無言のままだった。横道に逸れる方策を練るための時間稼ぎをしているようにも思われた。
「手続きしてもろうてええけん」
「……華観さま?」
「秘密は守る。契約書どおりにするけん」
「華観さま」
澤渉が立ちあがり,高い位置から僕を見おろす。物凄い気迫が押し寄せた。
「おっしゃる意図が量りかねますが」
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