第10話 国会議員の家事手伝い

 けれど,この顔,何処かで見たことがある。

「先生,男のほうが……」

 長髪が心配げな面持ちで言えば,オールバックが明朗な表情で返す。

「いいじゃないか,女の子でも」

 先生?――そうだ,テレビで見たのだ! 彼は国会議員だ!

 独りでに口が動き,僕は男です!と叫んでいた。著名人のもとで働けば,自分のステータスも上昇するように思ったのだろう。打算だった。

 だが,新しい人生を踏みだすには打算だって必要だろう。僕は人生をリセットするチケットを手にいれた。衆議院議員 千代田ちよださかえの家事手伝いをする仕事が決まったのだ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る