第9話

 複雑な配管を通り抜け。暗闇の中を一直線に走った。悲鳴はなおも聞こえている。眼前に黒い魂が八つ見えてきた。


 モートはその中央に飛び込んだ。


 瞬間的に銀の大鎌で円を描くように狩ると、八つの首が血をまき散らしあらぬ方向へと吹っ飛んだ。

 床には気を失った少女が倒れていた。


 モートは少女をよく観察しようとした。


 幸いにライトが天井にぶら下がっていたので、少女の両の手首と念のため足首を見てみると、右の手首に聖痕のような傷を発見した。


 異変に気が付いたのだろうドタドタと大勢の大きな足音が迫って来る。

 モートはその方向を見ると、全て黒い魂だった。

 嬉しくなったモートは銀の大鎌を握り直し、少女をこの暗闇の空間の片隅に隠した。


「なんだーーてめえーー、……わっ、ひっ!!」


 悪漢の一人の首が即座に飛んだ。

 血潮をまき散らし、飛んだ首はこの下水処理施設の空間の壁に派手に激突した。


 大勢の悪漢はたじろいだ。


 手にした銃でモートをそれぞれ撃つが、弾丸はモートの身体を貫通していくだけだった。焦った悪漢たちは逃げの態勢になったが、いつの間にか全ての首が鮮血を上げて床にごろりと転がり出していた。


「今日の収穫も凄いな……」


 モートは銀の大鎌を黒のロングコートにしまうと、独り言を呟いた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る