第10話

 急に配管だらけの空間の脇の排水路から赤い水が流れてきた。

 モートは考えた。

 ここの上はトンネルだった。恐らく外は血の雨が降ってきているのだろう。


 天井のぶらりとしたライトが突然に破裂した。

 奥の方から多くの黒い魂がゆっくりとこちらに向かってきていた……。


 モートは落ち着いて銀の大鎌を黒のロングコートから再び取り出した。構え直すと、空間の片隅に隠しておいた少女がなにやらビクビクと動きだした。


 少々、焦り気味になったモートは、奥へと走った。


 それはゾンビ……アンデッドの群れだった。ひたひたとこちらに歩いてきている。何故、ゾンビだとわかるかというと、全て手術の後があるからだ。あるものは、右肩から胸にかけて普通なら致命傷になるはずのメスによる裂傷が見える。また、あるものは、帝王切開によってそのまま胸が大きく開かれていた。


 ゾンビの群れの大きく裂けた胸は、完全に停止した心臓が見える。


 どこかから大きな銃声が木霊した。

 モートの身体を幾つかの弾丸が貫通していった。

 

 まず、モートはゾンビの群れへと走った。

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