第14話「魔力コントロールの是非」
この話をするには小路地は適していないと、ラブグッドさんと共にそこから一番近い空き地に訪れた。
ラブグッドさんは不安に襲われているようで、道中、何度も泣きそうになっていた。その度に宥めなければいけなかった。未だに落ち着く気配は無い。
非常に面倒くさい。
「ほら、落ち着いてください」
「う……ぅ」
「大丈夫ですって、大丈夫です」
「で、でも、辞め……させるって」
空き地に辿り着いてもラブグッドさんは変わらずに泣いている。宥めよう宥めようと声をかけても泣き止む気配はない。
泣いているのを宥めても話は進まない。それに彼女の不安を煽るばかりで意味は無いだろう。
救済策を与えれば泣き止んでくれるだろうか。
「辞めなくていい方法もあるんです。マルファクが言ってました」
「……ほんと?」
「本当です」
肩を揺らして呼吸をしながら、腫れた瞳を僕の方に向けてきた。
「マルファクがラブさんをクビにするのは『死なせたくないから』らしいです」
「え、それって、私のこと……」
何か勘違いをしていそうだ。確実に脳内に花が咲いてしまっている。
このまま勘違いさせていてはマルファクさんに迷惑をかけてしまうだろう。面倒くさいが訂正しておこう。
「マルファクは『仲間を』一人も死なせたくないらしいです。一人も」
「……そう、で、何?」
かと言って明らかにテンションを下げられても困る。
丁度いい塩梅がない人だ。感情のメリハリがあると言えば聞こえがいいが、感情の起伏が激しすぎて話している僕も疲れてしまう。
「それで、マルファクはラブさんが戦えるようになればいいって」
「……え」
「マルファクから、ラブさんの魔術稽古をするように言われました」
「それで、ラブさん、勇者なんですから魔術は普通に使えますよね。少しずつ使ってくれれば解決します。」
「……う」
明らかに嫌そうな顔を浮かべたかと思うと直ぐに瞳をゆらゆらと動かし始めた。何か、不都合があるかのような表情に不安を抱きつつも、相手の言葉を待っていると、バツが悪そうに目を細め、「わ、私さぁ」と揺れる声で呟いた。
嫌な予感がする。
「魔力コントロール出来ないんだよね……」
「………………」
「……はい?」
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