第30話 冒険者ギルドにて
「今日の予定は、何かある?」
最近は、問題がなく迷宮で魔物を間引く日々。ドラグーンの改良も順調に進み、趣味を活かした装備が着々と増えています。
「今日は、午後から冒険者ギルドとの共同訓練があります」
「向こうから言って来た、例のやつ?」
事務員の役割が、サキヨミは板について来ました。
「はい。こちらの仕事量を不審に感じているみたいです」
「真面目に、魔物を倒しているだけですよ」
「お2人で、冒険者ギルド全体の仕事量と同じだけの魔物を倒しているので…」
「あいつらが、不真面目なだけ」
「ケイオス君の殲滅速度は異常。魔物部屋を毎日、数分で攻略なんて普通は無理」
「サフィーは、大物殺しが大分早くなったよね。この前も、ボスを一撃で倒したでしょ」
「ドラグーンの稼働時間、改良できたし馴染んできたの。私は、もっと上を目指すよ」
のんびりと、3人でお茶をしています。ゆっくり過ごし、英気を養ってから、冒険者ギルドに向かいます。
「なんだ?ここは女子供の来る場所じゃないぞ」
中に入ると、入り口にいた冒険者らしい男に声をかけられました。
装備は、新型のプロテクトアーマー。武器は、ハンドガンとライフルと言う、最近の冒険者スタイルです。冒険者、近接武器より、銃火器が主流になりつつあるみたいです。
「今日は、ここに約束があって来ました。ギルドマスターはどこにいますか?」
「マスターは、忙しい人だ。お前達みたいな子供が簡単に会える存在じゃないぞ」
「僕達は、面会の約束をして、ここにいます。取次を、お願いします」
「お前たちみたいな子供が、マスターにと約束?」
「言葉には、気をつけて。あと、人の事は、しっかり見る。あなた、不快」
サフィーが男の背後に周り、首筋にナイフを当てる。
「武器を置いて、両手を上げる」
言われるままに、男は装備を外して両手を上げる。顔色は真っ青。
僕達は、正式な約束でここに来ています。対魔ギルドの正式な制服を着ています。サフィーに関しては、皇族を示す紋章を、胸に着けています。
その相手に、お前達みたいな子供という発言は、完全にアウトです。門番の役目をしている人物としてはお粗末。自分の失言に気づいたので、顔色は真っ青です。
「お前たち、何をしている!」
異変に気づいた周辺が、騒がしくなります。
「俺は大丈夫だから、誰かギルドマスターを呼んできてくれ!」
「ここのギルドマスターって、誰でした?」
「元Aランク冒険者の、トトイ騎士伯です」
「騎士伯って、名誉貴族ですよね?」
「実績で、成り上がった平民です」
「なら、仕方ないかす。普通なら、こちらを出迎えるぐらいして欲しいです。無駄な時間は減らしたい」
「ぶ、部下が失礼をしました」
奥の部屋から、40代後半のと思われる男が、慌ててやって来ました。
「ここに来る時間、伝えてありましたよね?」
「はい」
「なら、何故入り口で待つ、もしくは来客ありと伝えておかないのですか?」
「来客に関しては、伝えてありました。丁寧に、お迎えする様にと…」
「あれが、丁寧なお迎えですか?」
ソフィーが怒っています。貴族主義ではないですが、身分に関しては、色々と厳しく教育されています。子供扱いされたのも、怒っている原因かもしれません。
「どうなのです?」
入口の男に、圧をかけて問いかけます。
「た、対魔ギルドから人が来る事は聞いていました。子供とは思いませんでしたので…」
「子供では、何か不都合でも?」
「魔物を倒している凄腕と聞いています。何か、不正をしているはずだと、仲間と話していました。皇族だから、騎士団の手を借りている可能性もある。それを見極める為に、呼び出したから、少し試す様に言われました」
サフィーの圧は、かなり強いです。魔力操作、色々と教えた結果色々と出来る様になりました。剛力の物理攻撃力、それを威圧に使っています。一言で言えば、恐怖。
「不敬罪で、強制労働確定。サキヨミ、処理お願いしますね」
「この男だけ」
「そこの、前ギルドマスターは、もう戦えないみたいだから、見せしめ」
この辺の、貴族の処置は厳しいものが多いです。トトイ騎士伯、なまじ貴族になっているので、皇族を試すという行為が不敬罪になります。
入口の男の言う事が、出まかせの可能性は低いです。
「異論のある方は、いませんか?」
圧を全開にして、サフィーが問いかけます。誰も、反論できません。
「楽しいお出かけの予定が、つまらないことで無駄になった。責任重大」
「予定通り、ここで模擬戦して、気晴らしする?」
「準備は出来てるの?」
「訓練場に、一応メンバーは集めてあります…」
トトイ騎士伯が、真っ青顔で答えます。
「どれくらい?」
「このギルドの、最強戦力です」
「少し、試す」
結果は、散々なものでした。サフィーの怒りを買い、建物は全壊。弱すぎたのです。銃火器がが火を吹く前に、倒されました。寸止めだけど、券圧で生まれた衝撃派で吹き飛ばされます。
「この後の予定は?」
「今日は、もうありません」
「まだ、時間早いよ?」
「訓練の時間、夕方まで予定していました」
「時間が空いた…」
「このまま、一緒に街を歩きますか?」
「デート?」
「そうですね、たまにはゆっくりするのも良いです」
「やった!」
サフィーはすごく嬉しそう。最近、色々と煮詰めていたので、良い気分展開になりそうです。
「時間ができて、嬉しいので恩赦。今回の罪は誰も問わない。ただ、強くなれ」
こうして、1日が終わる。
何事もない、平和な1日でした。
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