第29話 迷宮で…

 正直、この迷宮のレベルだと敵はいない。

 僕は、強くなり過ぎた。師匠との修行、作り上げた武器。無双できるだけの戦力が有る。

 この街にいる冒険者だと、そうは行かない。

 サフィーのレベルだと、若干苦戦するけど何とか戦える感じです。

「改良したドラグーン、絶好調!」

 基本的なフレームに、ナイトメタルを採用。強度的な問題はこれで解決しました。

 ソフト的な問題は、僕はまだ勉強中。姿勢制御のサポートシステムは優秀で、戦闘素人のサフィーでも、それなりに戦えます。力任せの、破壊活動だった今までと違い、上手く活かして戦闘をこなしています。 この動きは、僕も学ぶべき所があります。身体凶化で、脳だけを強化して知識を吸収。これはかなり効率が良く、いろいろな知識を得ています。

「そろそろ、ボスのいる場所です。注意してください」

「了解」

 サキヨミから、通信が入ります。彼女は、作戦司令室から、状況を見ています。無線機の類は、魔法を使い開発されていました。テレビモニターも、精度は低いですが存在します。この辺は、まだまだ発展途上です。

 魔物の行動に関しての予測は、彼女のスキルで出来るようになりました。出現場所、種類と数、およその強さが分かるみたいです。

「2倍の力には、慣れましたか?」

「何とか、振り回されずに頑張る」

 現在、サフィーは2倍の誓約が発動しています。僕との距離、この場合は10メートル以上離れると、効果が消えます。

 サキヨミがいると、3倍になるので、彼女は留守番です。色々と、落ち込んでいる彼女を元気づける為にlサフィーがキスしたらしいです。3倍の状態は、まだ色々と苦労しています。対魔ギルドの扉や壁、僕の私物などが主に犠牲になっています。

 少し歩くと、広い場所に出ました。そこに、今回の目的である敵がいました。

「また、凄いものが出て来たな…」

 固定砲台の塊の様な戦車擬きが、鎮座しています。大型トラックサイズで、キャタピラが付いています。怠惰の迷宮の魔物なので、移動はゆっくりしています。機械なのに、ものぐさな感じがしています。

「先手必勝、エンジン点火!」

 サフィーが叫びます。ドラグーンの稼働時間、いまだに改善されていません。短時間に最大火力を出すために、普段は自力で動かしています。色々と積み込んでいるので、重量は結構あります。サフィーの合力のおかげで運用出来ます。

 収納リングに入れて、移動する案もあります。ただ、ドラグーンを装備する時、特殊な服装になります。外で装備する時は、その姿を他人に見られる心配があるので、出来ませんでした。

 魔導エンジンに火が付き、ドラグーンが起動します。以前のドラグーンは、無骨な鎧でした。

 それに手を加えて、格好良さと可愛さを追求中です。フレイムとか、メガミデ何とか系の、趣味要素を加えたデザインです。武器に関しても、ギミックを仕込んだものを開発中。日々、魔物を倒すだけ。それだけでは、面白くありません。

 迷宮では、少ない数の死者が出ています。それなのに、面白くないと言うのも不謹慎ではあります。

 ただ、迷宮で人が死ぬのも世界の維持に必要な事。変な世界を作った神々を恨んで欲しいです。

「一刀両断」

 考え事をしている間に、戦闘は終了。サフィーの一撃で、魔物は破壊されました。

「回収コンテナと、サポートメカ召喚」

 収納リングから、巨大なコンテナを取り出します。中には、素材を回収するための装備が入れてあります。これでも、枠を一つしか使わない優れ物。

「どうだった?」

「その刀、使い方だいぶ良くなったよ」

「この武器、色々と面白い」

 魔力を込めると大きさの変わる刀。それを巨大化させて、力任せに断ち切る。サフィーの力任せだけで無く、ドラグーンによる動作補正で、威力は上昇。機械の塊である魔物でも、一刀両断出来る代物です。

「メンテナンス装置、召喚」

 サフィーの持つ収納リングから、小型のコンテナが出現します。ドラグーンの専用の装置です。

「家に帰るまでが、任務ですよ」

「帰りは、ケイオス君に任せます」

 ドラグーンを解除すると、インナー姿になります。前世で言う、スク水にしか見えません。目の保養には、少し物足りないです。美人さんと言うよりも、可愛い系の子なので、似合いすぎではあります。

 その辺、理解しているので甘えられると、弱いです。

「試作多足歩行戦車、召喚」

 名前の通りの物体を呼び出します。

「これ、載るの?」

「複座式だから、ゆっくり歩いて帰りましょう」

「はい」

 戦闘を回避して、まったりと話しながら帰還します。

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