第27話 女神に捧げる

 色々と、後片付けが大変な出来事でした。

 死亡した7英雄は、傲慢と憤怒と暴食の3名。怠惰のサキヨミは、皇城の地下に幽閉となりました。

 死亡したホープは、表向きは病死。ありがちな展開です。

 それぞれの迷宮は、ホープが送り込んだ後継者候補が、それぞれ襲名。怠惰は、名前が何度も出ている、カエンが責任者になりました。

 後日、話し合う予定です。

 捕獲したシクヤは、対魔ギルドの職員として採用。色々と洗脳されていたみたいで、記憶はまだ混乱中。時間をかけて治すしかないみたいです。

 他にも、犠牲者が何人かいたみたいです。貴族の暗部に触れるので、極秘に色々と動いてるらしいのが怖い。

 僕に関しては、表面的なお咎めありません。自分の身を守っただけです。

 ただ、情報機関に色々と探られました。僕に対する、お目付役としてサフィーと婚約する羽目になりました。

 皇族に取り込みたいと言う意図が、見えます。サフィーは可愛いので、特に断ることもなく受け入れます。やり過ぎたのは認めますし、力が行き過ぎている自覚もあります。

 世界の全てを敵にするつもりはないので、ある程度のしがらみは必要です。

 サフィーもこちらを気にってくれているみたいなので、時間をかけて相思相愛にしたいです。


「母上は、邪魔」

「将来の息子とスキンシップしたい母親を邪魔とは、ひどい娘になったものです」

「母上も、私のこと避けてたから、同罪」

「お母さんは忙しいのよ。色々と、動いていましたよ。全部、知らぬ間に解決した時の私の気持ち、少しは理解して欲しいものです」

 サフィーの母親は、第3王妃のカティー様。ソード帝国情報部の最高責任者でもあるみたいです。そう言う一族の姫様で、将来サフィーが継ぐ可能性もあるそうです。

 表向きは、闇の神官。闇属性の信者は、帝国に多数います。対魔ギルドも、この人が管轄していました。

 ただ、ホープの暗躍と、先代サキヨミの罠によって、ここ数年色々と走り回っていたそうです。

 情報部として、サキヨミの存在は色々と通じている部分があったそうです。

 先代サキヨミは、結局処刑されました。色々と、悪事が表面化した結果です。

 ただ、生きて色々と情報を引き出せたので、カティー様から褒美を頂きました。

「サフィー様、カティー様、そろそろお時間です」

 褒美として、サキヨミを貰いました。先代サキヨミの、コピーとして作られた存在です。

 行く当てがなく、仕方ないので引き取りました。対魔ギルドの職員として働いています。

 今日は、先日手に入れたスキル結晶を、混沌の女神様に奉納する日です。

 使い道を、色々と考えましたが、危険な品なので奉納する事にしました。スキルを習得できても、邪道なものを取り込むと、人体に悪影響が出る可能性もあります。ホープに関しては、確実に悪影響が精神的にあったはずです。


「色々と、お疲れ様」


 女神像に祈りを捧げると、混沌の女神が顕現しました。

「これ、別の神の介入してるね…」

 スキル結晶を見て、混沌の女神が呟きます。

「別の神ですか?」

「この世界を作った時、反対してた存在。ここ、少し特殊な世界なの。だから、よくないと思う存在もいる。気をつけて」

「今回の、報酬は貰えますか?」

「勿論、何か希望あります」

「報酬?」

 隣で聞いていたサフィーが聞いてきます。この辺のことは、彼女たちは知りません。

「私は、スキルを改変できます。制約はつきますが、強力になったり、弱体化もできますよ」

「弱体化!」

 それを聞いて、サフィーが目の色を変えます。

「私のスキルも、弱く出来ますか?」

「弱くなりたいの?」

 サフィーが必死なので、少し気になります。

「少し、不安です。この先、私は強くなりたい。そうしたら、いつかぎゅっとしたらケイオス君に怪我をさせてしまう。嫌われるのは嫌…」

「サフィー…」

 確かに、今はまだ僕の方が上でなんとかなっています。今後は不明です。その可能性、彼女も気づいているみたいです。

「弱体化は、そうですね…限定的に、能力の封印する機能を授けます」

「ありがとうございます」

「子孫繁栄は、未来に繋がる大切な事。私の使徒の伴侶として、頑張ってください」

 そう言って、混沌の女神様は消えました。捧げたスキル結晶も、消えていきました。

 これ、狙っている組織まだ沢山あったのです。カティー様がここにいるには、消えるのを見届ける為。

「ケイオスは、混沌の女神の使徒様でしたか…」

「一応、そうなっています」

「私は、闇の女神に仕える闇の巫女。闇の女神様は、混沌の女神様の姿のお一つ。混沌の女神様の使徒様であるケイオス様に、私の忠誠を捧げます」

 そう言って、跪く。

「僕は、魔物を倒すと言う使命以外は興味ありません。色々と、面倒ごとが増えるので、できれば内密にお願いします」

「その辺は、理解しております。今一度、頭を下げさせてもらいます。今後は、未来の息子として接しますね」

 この人、色々と考えてくれるので助かります。ただ、この場面で一言言ってくるサフィーが静かです。

「どうしました?」

 彼女は、顔を真っ赤にして停止しています。

 そして、頭から湯気を出しふにゃふにゃと倒れます。

 後日、何故こうなったか判明。先のこと、考え過ぎたのが原因です。


 スキル 剛力改 所持者に強力な力を与える。

 ギアスキル 条件を満たした時、スキルの能力を封印できる。

       キスをした後、一定距離を離れるまで効果は持続。

       今後、キスをした相手が一定距離内いた場合、人数倍の力が増加する。


 強力な、スキルに変化しています。流石です。

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