第24話 7英雄の後継者 その5

「何をしているのかな?」

 孤児院を調べようとしたら、背中に感触。サフィーが、再びおんぶお化けになっています。

「こうやって、人に触れるのって暖かくて良い」

 物凄く、ご機嫌なので何も言えなくなります。

「ケイオス君だけ、ずるい」

 一方、サキヨミからの圧がすごい。嫉妬の炎が目で見えそうです。

「孤児院の中、二人は調べました?」

「私達は、何も調べていません」

 サキヨミが、そう答えました。3人で、中を歩いていますが、特に怪しい場所はありません。院長の部屋を調べましたが、隠し金庫とか隠し部屋はありませんでした。

「ここにいた、子供の名簿とかないのですね…」

 普通なら、ありそうなのにその手の書類がありません。

「何が、気になるの?」

「孤児院に、特殊なスキルの子供がいたかもしれない」

「特殊なスキル?」

「相手のスキルを奪うスキルが怖いかな…」

 異世界転生の定番スキル強奪。スキルコピー系は、警戒すべき一級品のスキルです。

「予知のスキルは、怖くないのですか?」

「今の僕には、大した脅威じゃないね」

 現状、レベル差と身体凶化で何とかなる気がします。相手が、未来を予知して行動しても、それ以上速さで攻撃すれば、問題ないです。

「私が、ケイオス君を視て、それが絶望する未来だったらどうします?」

「気になるなら、視ても良いよ」

「…………」

 こちらをじっと視ています。スキルを発動しているにか、魔力が身体から溢れています?

「私達が、間違っていました…。許してください」

 そして、泣きながら懇願されます。

「許す?」

「私達は、色々とあなた様を騙しています。許してください」

「そうなの?」

「背中のおんぶお化けに確認します」

「私は、騙したのは名前だけ。ある組織のメンバーだけど、サキヨミほど、真剣に活動して無い」

「ある組織?」

「私のお兄様が作った組織。7英雄の後継者という名前」

「活動内容は?」

「今の7英雄は、国にためになっていないから、取って代わって、国の為の7英雄にするのが目的だったはず」

「7英雄、国のために働いていないの?」

「あの人たち、みんな自分の趣味に没頭している」

「それを、やり過ぎているから困ったものですよ」

 気がつけば、目の前に仮面をつけた人物が立っています。気配を消して接近したという感じではありません。

「誰ですか?」

「7英雄の後継者が首領、ホープ・ドラゴン・ソード」

 仮面の男は、そう名乗ります。確か、第四皇子のはず。ソフィーとは異母兄妹のはず。皇族の名前は公表されているので、ある程度の知識はあります。

「本人?」

「仮面は、スキルを封印する為の物なの。お兄様は、危険なスキルを持って生まれたらしいのです」

「生まれつきの物なのに、制限されるとは不公平だと思わないか?」

 何となく、演技をしている感じ。正直、胡散臭い。

「今の7英雄は、己の行動でいずれ滅びる。我々の手で、それを成し遂げる!」

「お兄様はそう言うけど、先代サキヨミ様が七英雄の死は、ケイオス君が実行すると視たのは本当」

「僕だと、わかっていたの?」

「退魔ギルドの関係者で、混沌の女神の使徒。ケイオス君を見れば、逸脱した気配で分かる」

「そうなの?」

「私の、全力のぎゅーに耐えれた。人間には無理、人外の存在」

「それで、判断できる物なの?」

「私は、判断した。そして、好きになった。人に触れて、拒絶されなかったのは初めてで嬉しい

「妹は、その力故に、皆に恐れられている。不遇なスキルを作った神の責任である」

「極度に、恐るように誰かが誘導していませんか?」

 誰にも触れなかったと言うのは、少しおかしい。

「神残酷な仕打ちは、許し難い。故に、私が新たな神となり裁きを下す…」

「それで、この孤児院の子供を殺したの?」

「殺してなどいない。全て私の中で、生きている」

「強奪系のスキル?」

「神の失敗だよ。私のスキルは」

 と言いかけた所で首を刎ねる。何であれ、やった事は、許せない。事情は、後で調べれば良い。

「無駄な事を…」

 跳ねた首が、元に戻ります。

「私は、不死身。既に、そう言う存在なのだよ」

「そう?」

 連続で、斬りつけます。5体バラバラ。人形とか、人造人間の可能性もあるので、しっかりと確認。

「無駄だと言っている」

 しかし、すぐに元に戻ります。ただ、仮面とか、着ていた服は戻りません。時間を巻き戻すと言う能力では無いみたいです。

「命のストックですか、尽きるまで、殺せば良いだけの事ですね」

「それが出来るなら、やってみるが良い」

 次の瞬間、ホープは少し離れた場所にどうしていていました。瞬間移動とは違いますね。直感で感じます。

「出来れば、手駒にしたかったが君には我が魔眼が通じない様で残念だ」

「レベルの高い相手には、精神支配系のスキルや魔術は通用しませんよ。洗脳も出来たのですね、多彩な事です」

「私は、洗脳されてないよ。お兄様よりもレベル高いから、サキちゃんは、多分手遅れ」

「怒っていないの?」

「サキちゃんは、幼馴染だけどお兄様に使われていたの知ってるから…」

「このお兄様とやらは、殺しても問題ない?」

「問題は、色々あるけど、仕方ないかな。ケイオス君の敵だから、仕方ない」

「私を、殺す?出来ない事は、言う物ではない」

「後、ストックは、何個かな?」

 接近して、殺害。これを数回繰り返します。

「無駄な足掻きを、繰り返すとは哀れな存在、慈悲である。消え去るが良い…」

 少し距離を取り、何かを発動しようとしています。危険な雰囲気を感じます。

 阻止しようとした直前、世界が止まります。

 そして、世界に光が溢れて満たされる。

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