第23話 7英雄の後継者 その4

「貴方が、お母さんを殺したの?」

 縛られて動けないシクヤに、サキヨミが問いかけます。

「私は、そんな事していません。サキヨミ様は、自害されたはずです」

「側近の貴方が、何も知らないと?」

「サキヨミ様は、自分のせいで子供は死んだ事を責めていました。本当です」

 それは、まちがいないでしょう。ただ、ずっと気になっていたことがあります。

「なぜ、ここの子供は殺されたのですか?」

「この場所の、対魔ギルド関係者が7英雄を脅かすと、サキヨミ様が予言したからです」

「それなら、殺す必要ある?」

「強欲のダールトンなら、やりかねます。あの人は、慎重な人物です」

「その人に頼まれて、ここを監視するために来たのですか?」

 姿を隠して潜入していた理由、それを知りたい。

「違います」

「誰に頼まれて、ここに来ました?」

「自分の意思です。予言の場所に、新しい人物が来たら、確認する必要あるわよ」

「そうですか?」

 そう言いながら、ないとメタルでナイフを作り、右腕に突き刺します。

「っく…」

 この手の、訓練されているのですね。諜報員として、色々と訓練されていそうです。痛みには、耐性ありそうです。

「容赦ないのね」

「危険人物ですからね。姿を消せる暗殺者なんて、最悪です」

「私は、暗殺者じゃありません」

「では、何?」

「情報を集めるのが仕事です」

「どんな情報を集めるために、ここに来たのです?」

「対魔ギルドに新しく来た人を、見定めるために来ました」

「どうして?」

「サキヨミ様は、まだ脅威は消えていないと言っていました。新しく人が来たら、確認する必要があります」

「これから、どうするつもりです?」

「私のスキルは、極秘です。それが判明された以上、誰もいない場所に逃げます」

「逃げられると思っているのは?」

「誰も、追いかけれない場所、怯える必要のないユートピア。色々と隠して生きるのは、辛かった」

 そう言いながら、奥歯に隠した薬を噛み砕く。

「毒は、無駄ですよ。そのナイフ、解毒剤が塗りこんであります」

 即効性の毒だったのでしょう、ただ、塗りこんである解毒剤は、強力な代物です。

「何で?」

「こちらも、情報関係の人員が欲しい。色々と、人手不足ですからね。とりあえず、身柄を拘束しておきます」

 対魔ギルドの地下牢に、閉じ込めます。

「良いの?」

「色々と、考えていることがあって、分からなくなっているんです」

「分からないこと?」

「7英雄って、本当に7人?」

「大罪の迷宮に一人配属されている、帝国の英雄。7人のはずです」

「役職として、何か良いことある?」

「貴族待遇で、定期的に年金が支払われます」

「怠惰の迷宮は、先代サキヨミだよね?」

「はい」

「その占いの結果で、この街の対魔ギルドのメンバーは殺された。7英雄の未来を占った結果ですよね?」

「そう聞いています」

「今の僕が、7英雄を殺すとして、その理由はここが襲われたからだよね?」

「お母さんが原因を作った?」

「結果的にですけどね。こうなると、誰が得をするのかと」

「得?」

「7英雄を殺すよりも、実行犯を見つけて八つ裂きにしたい心境です。7英雄は、おそらくこ殺害に、関係していません」

「そうなの?」

「サキヨミや、サフィーはここに子供と面識あったよね?」

「はい。みんな良い子でした」

「そこに、不思議なスキルを持った子供いましたか?」

「スキルに関しては、秘密事項だから、院長先生しか知らないはずです。特に変わった子供はないはず」

「院長先生は?」

「殺されてます」

「何か、資料は?」

「分かりません」

「となると、それを探しに来たのかな?」

 シクヤが潜入した理由、これかもしれません、このギルドの中に、何かに残っている可能性がありますね。

 調べる必要、ありそうです。

 

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