第18話 怠惰の迷宮

 最初のミッションは、固定砲台の破壊。数は3台で、微妙に連携しているみたいです。

 砲台を相手にす場合、注意すべきは射程距離。射程外から攻撃できればベスト。

 身体凶化のレベルを上げて、魔力変換で投げナイフを作り投擲。

 このレベルなら、一撃で破壊できるみたいです。レベルの上限まで行っているので、物足りなさを感じるぐらいです。

 最初のミッションは、あっけなく終了。

 次は、砲台の数が増えると同時に、魔物が出現するミッションになりました。

 ただ、攻略方法は広まっているので簡単です。

 魔物が存在す間は、基本的に砲台は動きません。

 一定の空間に魔物がない場合は、砲撃が行われます。魔物を残しながら、先に砲台を破壊する。これが、この迷宮の基本の攻略方法となっています。

 上層部は、ゴブリン軍団と砲台。中層は、ワーウルフ、コボルト軍団、下層部は不明と言う情報です。

 ちなみに、砲台を破壊すると、ネジの欠片というアイテムが入手できました。

 少し頑張って、100個集めてアイテム合成。古代のネジというアイテムに変換されました。

 これを一つ組み込むだけで、魔道具の効果を大幅に上昇出来ると言う貴重 戦闘中、砲台を解析しています。

 砲弾を、魔力で精製して撃ち出す技術は、この世界には無いものでした。

 身体凶化しか魔法の使えない僕にとって、使えない技術では無いです。機械を使って、色々と操作している部分の再現は可能です。

 レベルが上がり、基本的な肉体性能が上昇しました。筋力とか、持久力の変化はすぐに実感できました。

 ただ、知力に関しては中々実感できませんでした。レベルが大幅に上がってから、実感できるようになっています。元々、それほど高いとは思っていませんでした。記憶力が上昇して、理解力が上昇。並列思考みたいなことも出来る様になりました。

 ただ、出来ないことも多いです。天才的な発想は僕には無いです。新しい何かを作り出すと言うことに関しては、センス的なものが圧倒的に足りません。

 なので、解析を繰り返し、知識の幅を広げることに専念。

 魔法陣を解析して、魔道具を作成。魔力を流せば、色々と発動する仕組みを解析。

 この世界の魔道具を、色々と再現している最中です。

 固定砲台に使われている技術は、この世界の技術と違う部分が多々あります。

 この辺は、何か謎がありそうです。


 数日間、中層はを中心に迷宮を攻略。

 転送して、魔物を倒す。アイテムに関しては、魔石に欠片を迷宮ギルドに販売することで利益を確保。低級のアイテムなので、金額は低いですが数が多いです。

 ドロップに関しては、スキルレベルが上昇して、一度に2個入手できるようになりました。


 迷宮ギルドで、買取の時にお願いされました。

「トキヨミと言います」

「サードです」

 目の前には、二人の女の子。同い年との事なので、10歳らしい。スキルの関係で、今まで組んでいたパーティから外されたので、面倒を見れないかと聞かれました。

「対魔ギルドに所属でいいの?」

 現在、色々と問題を抱えているギルドです。命を狙われる可能性、まだあります。

「私達は、他に行くところが無いのです」

 二人とも、可愛い女の子なの子なので、引くて数多のような気がします。

「スキルが、問題なのかな?」

 仲間から、外されるとは厄介なスキルの気がします。この辺の年頃で、スキルが変化することが多いみたいです。

 基本的に、スキルは人の役に立ちます。仲間から追放されるとは、厄介なスキルの持ち主です。

「私の事情は、まだ言えません」

 サキヨミは、青い顔でそう言います。色々と、危険な事情がありそうです。

「私は、怪力のスキルが、剛力変化したので…」

 サードは、悲しそうにそう言いました。ただ、何故それで追放されるのでしょう?

 不思議に思ったので、確認しました。

 結果、ものすごくくだらない理由でした。馬鹿らしい気もしますが、ある意味切実な問題。

 元貴族の娘さんで、名前を追放時に封じられたそうです。

 器量良しで、日々努力して頑張る良い子。

 魔物と積極的に戦い、将来は姫将軍と呼ばれる存在へと期待されていました。

 頑張った結果、スキルが変化。怪力と言う、力の上がるスキルが上位進化。

 剛力は、神に愛された戦士の持つスキル。過去に数人、所持者がいます。

 英雄には無い、力のスキル。

、ただ、過去にあり悲劇が発生。これにより、剛力のスキルの所持者は不遇な存在へとなったみたいです。特に、女子限定。制御できない力の悲劇。

「手を出して」

 話を聞いて、確認したいことができました。

「?

「握手」

「はぁ…」

 不思議そうに、手を取るサード。

「強く握って」

 言われるままに、ぎゅっと握る。

「もっと強く、全力でも良いよ」

「むーー」

 言われるままに、力を込める。その様子を、驚きの表情で見つめるサキヨミ。普通なら、手が潰れてぐちゃぐちゃになっている。そう言う状況を、実は見たことがある。軽い気持ちで、握ったものを、簡単にぎゅっと潰せるのがサードです。

「僕の方が、強いみたいだね」

 レベル差が大きいので、剛力でも僕に影響はない。身体凶化を使えば、問題なく接することができる。

「流石に、伝承を試すのは今は無理かな」

 そういう時、サードは真っ赤になって俯くのでした。ぎゅっと、さらに力が入りましたが、少し痛かった。おろそしき、剛力のスキル。

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