第17話 敵の存在
対魔ギルド到着初日から、事件に巻き込まれた。ここまで、恨まれているとは想定外。何か理由があると思った方がいいでしょう。
「と言うわけなので、何か知りませんか?」
対魔ギルドに神像を設置して、女神様を召喚して見ました。
対価に、大量の魔石を使ったので、ご降臨出来ました。アイテム合成で、魔石を作っておいて良かったです。
「人の世の、細かい事情に神は不介入です」
「一応貴方の信者が、子供を含めて殺されてます」
「悲しい事ですが、それが戦争と言うものです」
「これは、戦争と受け取って良いのですか?」
「私は、そう受け止めました」
「了解しました」
女神様は、怒っておられる。ならば、使徒としてその怒りを受け止めましょう。僕も、怒っています。
女神様には、一つのスキルを貰うことにしました。
魔石の量的に、ランクの低いスキルですが、有益なスキルです。僕が、異世界で恐れているスキルの一つでもあります。
魔法でも、似たことができるらしいので油断はできません。
リフレクト、反射です。レベルが低いので、全部を反射できません。そこに、ある誓約をつけて気力を増します。出番がないことを祈るつつ、女神様との対話を終えます。
色々と、忙しくなるとの事で、数年は連絡出来ない可能性があると言われました。少し、寂しい。
一人になって、考えます。
ここまで、徹底して対魔ギルドを攻撃した理由。何かあるはずです。
今、この街には英雄がいます。フレイム・カエンと言う炎の魔神。
周辺の盗賊を、根こそぎ退治して評価を高めているそうです。迷宮で、魔物を倒すのが僕たちの役割。その力を盗賊退治に使うのは、あまりよろしくない。
英雄を名乗るなら、そのことを理解しているはずです。出来るだけ、人は殺さずに資源として有効に利用する。
残酷な物言いですが、この世界のルールみたいなものです。フレイムは、盗賊を皆殺しにしていると言う噂です。
人の噂になる程なのに、咎められる気配がない。不思議な感じです。
世界のルールを逸脱したものは、人知れず処刑される。その役目を、対魔ギルドがしていたと言う噂があります。これは、事実ではありません。
この噂を信じた、英雄の暴走という可能性が一番強いです。
ただ、この街では協力者がいません。資金は、領主様から犯罪者を引き渡した報酬としてかなりの額を頂きました。
これを活かして、何か対策を立てる必要があります。
取り敢えず、英雄の事は後回しにします。この街に来た目的の一つ、迷宮に行きます。
怠惰の迷宮は、固定砲台と呼ばれるタイプの魔物が出現する事で有名です。
動かずに、遠距離から敵を攻撃する魔物。怠惰の名に相応しい存在です。
迷宮への出入りは、入口で名前を書くだけの簡単な作業で入れます。
見せかけだけで、かなり厳重な監視システムが存在しています。入り口に魔法陣があり、中に入ると転送されます。
周りには、誰もいません。パーティを組んでいれば、それを認識して一緒に転送されるシステム。上級者になれば、色々と選択できるようになりみたいです。最初の挑戦なので、固定砲台の破壊というミッションみたいです。この辺、この世界がゲームみたいなシステムで運営されている気がします。
ゲームを参考にしたのか、ゲームが予めもしものために学ぶシステムなのか、今となってはどうでも良い話です。
今を受け入れ、生き延びるだけ。
「防具 セット オン!」
気合を入れて、装備を纏います。収納リング、100個しか入りませんが、ウェポンセットとして、予め箱に入れておけば一つの枠で収まります。
薬箱、食料袋、家など、半分ぐらいセットで収納してあります。
戦闘用の、鎧を身に纏います。色々と、改良を加えた代物です。
さて、戦闘開始です。
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