第16話 対魔ギルド

 ソード帝国には、みんなが大好き七つの大罪に因んだ迷宮があります。

 南の国境には、怠惰の迷宮があります。迷宮都市怠惰がこの街の名前。中級から上級者向けの迷宮として有名。

 七つの大罪の迷宮に挑むには、各種ギルドに所属する必要があります。

 以前、混沌の女神と会った時に、彼女が支配する対魔ギルドに所属させられました。右手の甲に、印の刻印が刻まれていました。魔力を流すと浮かび上がります。これは、使徒の証拠でもあります。普段は見せる必要ありません。

 年齢的に、下に見られるので、必要があれば見せることになりそうです。


 怠惰の対魔ギルドは、街の外れにありました。基本的に、混沌の女神関係は嫌われてる傾向にあります。闇属性なのも大きいです。ソード帝国は、闇属性は一属性と認識されています。

 ただ、冒険者ギルドは英雄を崇拝しているので、相慣れない関係です。


「ここ、対魔ギルドですよね?l

 中に入ると、なぜか冒険者がいました。中には、4人の冒険者。なぜ分かるかというと、全員防具に冒険者の印が刻んであります。

「ここは、冒険者ギルドの出張所ですよ」

 受付には、綺麗なお姉さんがいました、このお姉さん目当てに、ここに冒険者がいるという気がします。

「対魔ギルドは、どこです?」

「少年は、対魔ギルドに何の用かな?」

「少しに間、この街に居ることになったので、登録と宿の手配をお願いしようと思いました」

「そうなの?この街は、対魔ギルドと冒険者ギルド、共用なの」

「大丈夫ですか?

「他の街で、迫害にあったのかな?この街は、大丈夫だよ」

 優しく笑う、お姉さん。

「登録用紙は書けるかな?」

 ものすごく、子供扱いされています。最も、10歳なので子供ですね。

「大丈夫です」


 名前 ケイオス・ナイト 10歳 レベル10


 レベルに関しては、ありふれた数字を書いておきます。この辺は、調べる機械が無いので、バレることはありません。スキルに関しては、個人情報として扱われるので、書く必要がありません。

「戦えるか、軽くテストをするね」

 お姉さんの指示で、地下にある練習場へと案内されました。

「血の匂いが凄いですね…」

「普段から、実践訓練しっかりやるからね」

 その割には、少しの間使われていない感じです。

「武器は、そこにある木刀を使え」

 今回、テストを担当してくれるのは、冒険者のギート。Cランクの冒険者との事。対魔ギルドの詰所で、冒険者の指導をしているそうです。

「対魔ギルドの所属の人はいないのですか?」

「対魔ギルドのメンバーは、迷宮に全員行っている」

「全員?」

「最近、ノルマ達成出来ていないから、大変なのよ」

「ノルマ?」

「税金関係。ケイオス君も、大変だけど大丈夫?」

「蓄えは、それなりにあります。ここに来るにあたって、援助してくれた人がいますから」

「テストは、その木刀で、打ち込むだけの簡単なものだ。戦えるか、俺が判断する」

 構えは、しっかりしています。それなりの腕はありそうです。

「お願いします」

 木刀を構え、合図を待ちます。

「それじゃぁ、私が合図をしますね」

 お姉さんが、声を掛けます。

「じゃぁ…」

 精神を集中して、合図を待ちます。


 パン!


 少し間抜けな、銃声。

 背後から聞こえます。狙われているのは、分かっていました。だから、軽く回避します。銃弾を避けるぐらい、今の僕では余裕です。

 ギリギリで、回避に成功。背後に、銃を構えている冒険者。回避されるとは思っていなかったのか、正面にいたギートは銃弾を胸に受けて倒れます。

 こちらの頭を狙ったみたいで、弾丸はギートの心臓を直撃。即死ですね。運が悪い。

「で、何のつもりですか?」

 接近して、後ろの冒険者の腕を切り落とします。収納の腕輪から、刀を取り出しています。

「動かないでください」

 何かしようとしたお姉さんに向けて、剣を突きつけます。

「貴方たちは、何者ですか?」

「闇属性の人間は、滅びればいい」

「英雄崇拝者でしたか」

 英雄を崇拝する人たちの集団。混沌の女神を敵視する、狂った集団。

「身柄を、拘束します」

 相手が弱くて良かったです。

 街の衛兵に連絡して、逮捕してもらいます。対魔ギルドにいた人達は、この集団に殺されていました。

 孤児院のの子供も数人いたみたいですが、犠牲になっていました。

 冒険者ギルドとの関係は、はっきりと確認出来ず。

 この5人の犯行と確定。魔法による取り調べは、過酷で間違い長いと言われています。

 完全に信じることは出来ません。ただ、街の領主がそう決めました。

 わずか2日の出来事です。その間は、衛兵の詰所でお世話になりました。

 問題なく、対魔ギルドを使っていいと言われたので、誰もいない建物に住むことになります。

 領主の手配で、教会による浄化のサービス付き。

 新しく、人を雇う余裕はないので、僕一人で再スタートです。やるべき事は、領主さんからの手紙にあったので、迷宮探索です。

 色々と、前途多難です。


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