第6話 ギアスキル その4

 錬金術。素晴らしい可能性と夢を詰め込んだスキルだと思う。

 逆に、100ポイントでこれが取れるというのが不思議である。

「これは、基礎スキルですね。普通に、学べば習得できます」

「カタログギフトにあったのに?」

「確認せずに、ポイントを習得する人のための、トラップですよ」

「意地が悪いですね」

「私は作ったのでは無いですよ」

「もしかして、行く世界はかなり悪質な存在が多いのですか?」

「私を筆頭に、悪質な存在のオンパレードです」

「そこは、誇ることですか?」

「神、または自称他称神と呼ばれる存在は、まともでは無いです」

「そう言うものなのですか…」

「受け入れなさい」

「そうします。せめてもの情けで、錬金術のスキルを下さい」

「錬金術の一つで、あなたが選んだスキルと相性の良い物なら、授けましょう」

「どんなスキルです?」

「アイテム合成です。同じ素材を合成して、上位の素材に変換するスキルです」

「誓約は?」

「通常、10個の素材で合成するスキルです。素材が、10倍になります。100個で合成できるようになります。最低ランクの素材を毎回入手できるので、役に立つと思いますよ」

「その優しさが、逆に怖い」

「怖さを忘れてはいけません。生き残るために、必要なことです」

「心得ておきます」

「これで、スキルの選択は終了で宜しいですか?」

「はい」

「貴方はこれから転生します。転生先の世界は、厳しい状況でした」

「でした?」

「大変申しにくいのですが、この場所と転生先の世界には若干時間のずれがあります」

「もしかして…」

「はい。長時間の思案の結果、当初の予定より遅れてしまいました。その結果、先に転生した人達は、色々と世界をかき回せました」

「転生する必要、ありますか?」

「勿論です。掻き回した結果、世界の半分が滅んでいます。魔王と自称する転生者もいます。滅んでいないのは、別の存在の使徒の功績ですね」

「当初よりも、悪化していると…」

「貴方も、色々と考えましたが、他にも面白いことを考えた存在がいます。反則ギリギリと、完全に違反をしでかした存在がいます。頑張って、生き残ってくださいね」

「したくない…」

「それは出来ません。スキル製作において、私と誓約を結びました」

「言い返せない」

 数を増やすために、色々と考えた結果です。受け容れるしかありません。

「最後に、一つ見せたいものがります」

 目の前に、無数の影が浮かび上がります。

「これは?」

「この世界を狙う存在です。この世界は、滅んだ世界の亡者を呼び寄せています。倒し続けるしか存続の道はありません」

 荒野を駆ける、亡者の列とでも言うのでしょうか。無数の、死の影です。

 抗う術は、我が手にない訳ではない。そのために結んだ誓約です。

 生き残ろう。

 そう思いながら、押し寄せる感覚に身を任せます。

 転生の時間です。願わくば、少しでもマシな状況で産まれたいものです。

 

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