🔳20話
修練場でのハロルドチームとの一件から、ミラたちの士気はものすごく上がっていた。目標は一か月後の模擬戦だ。
ルゥとリナリアは個人的な戦力としては上級生ともなんらそん色はない。そんなふたりを活かすためにミラの担う中衛の役割は大きかった。
ミラの能力向上はチームのためには必須だった。
「が、頑張ります……っ」
そこでミラへの猛特訓が決行されることになった。
「そんなんでバテてんじゃねーよ。ほら学園の外周もう一度だ」
「は、はい~~~~」
肉体強化はルゥが担当。
「いい? マギアの開放はりきめばいいってものじゃないわ。こう身体の内側から解放するようなイメージするの」
「む、むむむ……む?」
マギア強化はリナリアが担当。
徹底的にミラの基礎能力を鍛えていく。
ちなみにセラフィムはあまりに教えるのが下手過ぎたのでミラの特訓では戦力外通告されてしまっていた。ルゥとリナリアの手の空いた方と組手をする係になっている。
ミラたちは朝練から始まり、座学とチーム訓練が終わった後は門限ギリギリまで居残って特訓を続けた。
ふたりの特訓メニューはかなり厳しかったが、それでもミラは挫けることなく続けていった。
「これでラスト……ですっ」
就寝時間前、ルゥから出されていた筋トレメニューをこなしたミラはベッドへと腰を掛ける。
「おつかれ。ミラ」
セラフィムが髪を梳かしてくれる。
はふぅ……フィムのブラシは疲れた身体に沁みますねぇ。
今日は朝からずっと訓練と勉強だったのでもう瞼が鉛のように重かった。
「フィムってやっぱりすごいんですね」
「え? 俺?」
「はい。今回の特訓をしているとそれがわかります」
「まあ。俺はちょっと事情が違うから」
セラフィムは言葉を濁す。
あれだけの力を得るためにどれだけの苦労があったのでしょうか……。
彼はミラと出会う前の話になると歯切れが悪くなる。きっと訊けば教えてくれるのであろうが、ミラはそうしようとは思わなかった。
……今はフィムが一緒にいてくれる、それだけで十分です。
「あれ? ミラ、眠っちゃったの?」
セラフィムの声が遠く聞こえる。
でも、どんどん修練して……。
いつか私もセラフィムの役に立てれば――……。
そんなことを考えていたら、ミラの意識は夢の中へといざなわれるのであった。
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