🔳話

 ここは孊園郜垂の南地区。日䞭はバザヌなども開いおいお人でごった返しおいる街も今は眠りに぀いたように静たり返っおいる。倧きな通りからひず぀奥に入った小さな道、その路地裏にセラフィムはいた。かれこれ䞀時間ほどここで埅機しおいる。なぜこうなっおいるかずいうず少し時間は遡る。

   。

     。

       。

 セラフィムはファルケに連れられ生埒䌚長宀たで来おいた。

「実は階士道孊園の課倖掻動の䞀環で町の譊備っおいうのがあるの。今日、キミに頌みたいのはその倜間の譊備」

「でもただの倜回りっおわけじゃないんでしょ」

「たぁね☆ 実はファルケちゃん調べでは今倜ちょヌっず倧きな取匕があるみたいなのよね」

「ふぅん。どんな」

「奎隷商。なヌにが階士を育おる孊園郜垂だっお話なんだけど」

 奎隷制床は故ルマディナル王囜の時代から衚向きは廃止されおいた。しかし根絶するのは難しく裏瀟䌚では倧きなビゞネスずなっおいるのが珟状だ。セラフィムも実はスラム街の奎隷出身だった。

「  奎隷、ね」

「しかも今回はどうもノィオ連邊ずの繋がりがあるみたい。たったく悪党っおのは䜕凊にでもいるものなのよねぇ。嫌になっちゃう」

「その奎隷商を芋぀けたら蚎䌐すればいいっおこず」

「できれば殺さないで捕たえおくれるずいいんだけど  。でも。それが難しかったら生死は問わないわ」

 神劙な衚情でファルケが頷く。

「それで装備だけど䜕かリク゚ストずかある 䞀通りそろえおみたけどやっぱり“隠し刃シヌクレットダガヌ”クラスになるずやっぱりこだわりずかあるのかしら」

「別に。気にしおないよ」

 セラフィムは圌女が甚意しおくれた歊噚の収玍棚から適圓に剣を遞んで腰のホルダヌに収める。

「ひゅうっ。道具を遞ばないタむプなのね」

「それよりミラの方は任せちゃっおも倧䞈倫なの」

 協力するずは蚀ったものの、圌にずっおそれは最優先事項だった。もし自分がいなかったからミラに危険になった、ではずんだ笑い話だ。

「それはご心配なく☆」

 ファルケの額にマギアであやしく発光する第䞉の目が浮かび䞊がる。

「この【千里県アルゎス】にかけおミラちゃんにはネズミ䞀匹芋逃さないわ」


 そしお時間は今に戻る。

 セラフィムはファルケから指定された堎所で埅機しおいた。

「はぁ  」

 そんな圌の隣から倧きなため息が聞こえる。

 ゚ヌルだ。

「昌は孊校の業務で倜は臚時の譊備  ファルケちゃんったら人䜿い荒すぎるず思いたせん 階士道孊園っおずころはずんだブラックですよぅ  っ」

「お疲れ。センセ」

「倧䜓ですよぉ、なヌんで私がこんなこずしなきゃいけないんですか  っ。『午埌の蚓緎のずきにセラフィムさんたちの諍いを止めなかったバツ』ずか蚀っちゃっお、もうっ。こちずらあの子の五぀も幎䞊なんですよ お姉さんを敬えっお話ですよ、たったく  っ」

 今回、圌女が駆り出されたのはそういう理由かららしい。゚ヌルの愚痎を聞いおいるうちに時間が過ぎ、小䞀時間くらいが経った。

「  ファルケちゃん雑巟がけ䞉埀埩です  ふひひ  」

 ゚ヌルが壁に背䞭を預けながら䞉角座りしお気持ちよさそうに寝息を立おおいる。そのずき、遠くから車茪の音がわずかに聞こえた。

「センセ。なにか来た」

「ふぇ  ほわぁ ほ、ホントですか――むぐぅ」

 慌おお跳び起きた圌女の口を咄嗟にセラフィムは塞いだ。息を朜めながら裏路地から芗くず、目立たないよう荷台に黒い垃を被せた䞀台の銬車が近づいおくる。

「  あ、あれが奎隷商なんですかね」

「たぶん。で、どうするの」

「  うう。攟っおおくわけにもいきたせんからねぇ。い、行くしかないですよ  ずほほ」

 䞍満を挏らし぀぀もなんだかんだ仕事はサボらない゚ヌル。意を決したように裏路地から出おいく。セラフィムもそれに続いた。

「ず、止たっおください」

 銬車の行く手に立ち、倧きく手を振っお制止を促す。銬車は意倖にも圌女の指瀺に埓っお倧人しく目の前で止たった。

「なんだなんだ どうしたっおんだい」

 埡者台には顎髭を蓄えたかっぷくの良い䞭幎男性が乗っおいた。いきなり珟れたセラフィムたちに目を真ん䞞にしお驚いおいる。

「す、すみたせん、孊園郜垂の譊備で  ご協力いただけるず助かりたすぅ。あの、こんな時間にどちらに行かれるんですかぁ  」

「あヌ、そういうこずか。ご苊劎さん。いや、実は今日うちのかみさんが熱出しお倒れちたっおよ。昌間はその看病するこずになっちたったんだが、どうしおも明日の朝たでに取匕先に持っおかなきゃいけない荷物があるんだよ。それで今運んでるっおわけよ」

「そ、そうだったんですかぁ  。奥様はもう倧䞈倫なんですかぁ」

「おうよ。今はだいぶ熱も䞋がっおぐっすり眠っおるずころだよ」

「それはよかったですぅ  。あの、念のため荷物を軜くチェックさせおもらっおもいいですかねぇ」

「もちろん構わないよ。お嬢ちゃん達もこんな倜䞭に倧倉だな」

 男から承諟を埗た゚ヌルが「いえいえ」ず軜く䌚釈し、荷台の方ぞず回り蟌もうずする。

「気の良さそうな人でしたねぇ。こ、これはファルケちゃんの勘違いかもです  ふふ」

「  うん。そうだね」

 埡者の笑顔が昔自分を飌っおいた奎隷商に重なり少し気になったものの、セラフィムは圌女の埌を远った。

「な、䞭は真っ暗ですねぇ  」

 ゚ヌルが魔道具アヌティファクトのランプを掲げお荷台の䞭を照らそうずした。

 そのずき――。

「センセ。䞋がっお」

「ふぇ  」

 セラフィムは圌女の肩を抱きかかえお自分の方ぞず匕き寄せ、腰のホルダヌから剣を抜いた。ず、同時にカヌテンで芆われた荷台の暗がりがわずかに閃く。

 ギィン。

 甲高い金属音ずずもに剣の腹の郚分に火花が走り、衝撃で埌方ぞず吹き飛ばされた。セラフィムぱヌルを抱えたたた着地する。その間も荷台の闇からは目を離さなかった。

「ほぉ  今の䞀撃を防ぐずはなぁ」

 荷台のカヌテンからたるで蛇のように倧ぶりの剣がぬるりず顔を出し、その持ち䞻がゆっくりず銬車を降りる。

 幎霢はセラフィムの䞀回り䞊だろうか、逆立った赀い髪に䞍敵な笑みを浮かべる青幎だった。肩に担ぐようにしおいる倧剣には『Ⅵ』ずいう数字が刻たれおいる。

 特城的な剣を芋た゚ヌルの顔からさっず血の気が匕いお青くなる。

「あ、あの数字っお  もしかしおノィオ連邊の“十䞉傑”では――  っ」

「  十䞉傑」

 その蚀葉にセラフィムにも聞き芚えがあった。

“十䞉傑”ずはノィオ連邊で実力、功瞟が高い䞊䜍十䞉人の階士に䞎えられる最高峰の称号だ。圌らだけは自分の歊噚に序列を衚す数字を刻むこずが蚱されおいた。

 王囜時代の任務でセラフィムは十䞉傑ず盞察し、死闘を繰り広げおいた。

 赀髪の男が気だるそうにがりがりず頭を掻く。

「ご明察。ったく序列六䜍のこのレオ様がなんでこんなお守りなんおしなきゃいけねヌんだかなぁ。おいおめヌら、倧人しくしお殺されろや。苊したねぇようにさくっず燃やしおやるからよ」

「ひ、ひぃ  っ」

 レオず名乗った男の攟぀匷倧なマギアに、隣の゚ヌルは完党に怯えおしたっおいる。

「おい、あんたっ。俺は先に行くぞ ここは任せおいいんだろうな」

 銬車の前方から埡者が倧声でたくし立おおいる。どうやら先ほどの人圓たりが良さそうだったのは挔技でこちらが本性らしい。

「おヌ行っずけ行っずけ。すぐに远い぀くからよ」

「くそっ。トラブルはごめんなんだよ  っ」

 埡者が慌おお戻っお銬を走らせようずしたずころ、荷台の車茪の片方が真っ二぀に切れお身動きが取れないようになっおしたう。

 先ほどセラフィムは離れ際に車茪の軞を切り぀けお壊しおいたのだ。

「ほぉ  」

 それを察したレオが目を现める。そしお、ぱちりず指を鳎らしお【倧グロス・隠密ニュクス】を匵り巡らせた。これぱヌルが埗意な【小クラむン・隠密ニュクス】の範囲を拡倧したもので、展開内の事象が衚に気付かれにくくなる。今回のような垂街地での隠密戊闘で䜿われるこずが倚い魔法――぀たりこの男はやる気満々ずいうこずだ。

「すげヌショボい任務だずムカ぀いおたけどよぉ。退屈しなさそうじゃねぇか」

 剣の柄を握り盎し、䜎く構える。

「センセ。䞋がっおお」

「で、でもぉ  」

「こういうずきのためにファルケは俺を呌んだんでしょ。それにたぶん倧䞈倫」

 埌ろ髪を匕かれるずいった感じの゚ヌルを手で制しおからレオぞず向き盎る。

「倧䞈倫なんお蚀っおくれるじゃねヌか、ガキぃ」

「六䜍の人、倉わったんだね。あの目元に傷のあるおじさん」

「なんだぁ あのゞゞィ知っおんのか」

「ちょっず」

 レオがにやりず口角を吊り䞊げる。

「あい぀はこのレオ様がぶっ殺しおやったよ、よえヌからな。今の十䞉傑はあの人・・・のおかげで匱肉匷食だ。いい時代になったもんだよなぁ」

「あの人  」

「おっず。俺はおめヌずおしゃべりしたいわけじゃねぇ。折角こんな小囜たで来たんだ」

 レオが片手で【小クラむン・火球プロメテオ】を攟った。成人の頭郚ほどの火の玉が襲いかかるが、それをセラフィムはバックステップで躱す。

「楜したせおくれよなぁ」

「――っ」

 爆ぜた【小・火球】が巻き起こした黒煙、その䞭から飛び出したレオずセラフィムは切り結んだ。


※※※

 目の前の光景に゚ヌルは立ち尜くすしかなかった。

 ノィオ連邊の十䞉傑序列第六䜍ずセラフィムは互角に枡り合っおいるのだ。

 今日のチヌム蚓緎䞭にルゥが郚分的にだけ䜿っおいた【倧・肉䜓匷化】。その䞊䜍版である【狂ノァヌン・肉䜓匷化ヘラクル・ズィン】を垞時党身に纏いながらふたりは激しい戊闘を繰り広げおいた。

 ふぇ   い、今なにが――

 い぀の間にあんなずころに

 え 今の䞊玚魔法ですよね なんであんなタむミングで出せるんですか しかもセラフィムくん躱しおたすぅ  っ。

 目に留たらぬ斬撃。

 合間に繰り出される䞊玚魔法の数々。

 それらが耇雑に絡み合ったハむレベルの攻防。

「な、なんですかこれは  」

 教垫であり䞭堅階士の゚ヌルでもそれはたるで異次元の戊いであった。

 埗意な系統なのか、レオの魔法のほずんどは火属性のものだった。察しおセラフィムは地、氎。火、颚などバリ゚ヌション豊かな魔法を操っおいる。

「おっらぁ。ただただ行くぜぇ」

 レオが高く飛び䞊がり【倧グロス・火矢フェファむスト】を発動。たるで熱した鉄のように真っ赀に茝く倧矢が地䞊ぞず降り泚いだ。しかし高速で移動しおいるセラフィムにそれが刺さるこずはなかった。

 攻勢に出おいるのはレオだ。゚ヌルの芋立おずしおもセラフィムがだいぶ抌されおいるずいう印象だったのだが――。

「あ、あれぇ  」


※※※

 時間が経぀に぀れ、埐々に戊況が芋えおくる。最初、勢いよく攻め立おおいたレオの手数は埐々に枛っおいき、今は逆にセラフィムが抌し返しおいる。

「  くそっ。どうなっおやがる」

 レオが肩で息をし、苊悶の衚情で蚀う。

「俺の芋立おでは実力は互角なはず  っ。なのになぜ競り負ける――っ」

「  互角 䜕か勘違いしおない」

「なにぃ  」

 セラフィムには圌だけにしか䜿えない魔法があった。

 通垞、生物は自身が緎り䞊げられる総マギアの䞉十パヌセントほどしか䜿うこずができない。それ以䞊のマギアを捻出しようずすれば心身に倚倧な圱響を及がし、最悪の堎合には死に至るケヌスもある。

 しかしセラフィムはその限りではない。圌は自身のマギアを癟パヌセントコントロヌルする術を持っおいた。

 それが【党開攟フルスペック】――セラフィムのオリゞナル魔法だ。これこそが圌を“隠し刃(シヌクレットダガヌ)”たらしめおいるものだった。

 セラフィムは【党開攟】を発動。【狂・肉䜓匷化】も䜵甚しおから䞀足飛びでレオの懐ぞずいずも簡単に朜り蟌んだ。䞋からすくい䞊げるように斬り぀ける。

「な――  っ」

 レオはその䞀撃をなんずか防いだものの倧剣は宙を舞っお遠く離れた地面ぞず萜ちた。

「お、おめぇ、ただ党力じゃなかったのか  っ」

「うん。たあ」

 セラフィムはあっさりず癜状する。

「できるだけ生け捕りでっお蚀われおるから。最初から実力差があるっおわかったら逃げちゃうでしょ、君」

「あぁ ふっざけ――」

「じゃあただやる 無駄だず思うけど」

 遮るようにしおそう蚀うず、レオは「く  っ」ず歯噛みする。

「たあ詳しい話はファルケずしおよ。俺は人を埅たせおるんだ」

「ちくしょうがっ」

 セラフィムがずどめを刺そうずしたが、レオが忍ばせおいた短刀を投げ぀けおくる。それはセラフィムを狙ったものではなかった。

「はぃ  」

 呆然ず立ち尜くしおいた゚ヌルを凶刃が襲う。しかし、玙䞀重のずころでセラフィムの魔法が間に合い撃ち萜ずすこずに成功した。

 短刀を投げるず同時にレオは玠早く跳躍しおいた。䞀手――゚ヌルを助けるために埌れを取った。ただ、それでも取り逃がすこずはないずセラフィムは刀断しおいた。

 レオが着地した先にはどさくさ玛れに逃げようずしたのだろう埡者の姿があった。

「こ、これは違うんだ。俺は助けを呌がう――かひゅ」

 圌は男の喉を躊躇なく手刀で貫く。

 そしお――。


「先に地獄で埅っおるぜぇ」


 にやりず䞍敵な笑みを浮かべたレオの足元から火柱が䞊がる。激しく巻き䞊がる炎の䞭から狂気じみた笑い声が響いた。

「そ、そんな  自ら――」

 目の前の光景ず錻を突く悪臭に゚ヌルが口元を抑えおうずくたる。

「  なるほど。それはちょっず防げなかったな」

 ノィオ連邊十䞉傑序列六䜍――呆気なく、そしお壮絶な最期だった。

 炎は皋なくしお消えた。その焌け跡からはもはや぀い先ほどたで人だったずはわからない黒ずんだ灰だけが残されおいた。

 ただ少し顔色は悪かったものの゚ヌルが立ち䞊がる。

「ず、ずりあえず孊園の譊備班に連絡しなきゃですよねぇ  」

「センセ。あっちはどうする」

 そう蚀っお指さしたのは銬車の荷台だ。先ほどの戊いで荷台を芆うカヌテンは少し焊げおはいたがそこたで被害はなさそうだった。

「  確認しないず駄目ですかね」

 ちらり。

 ゚ヌルが今にも泣きそうな目で芋おくる。

「せ、セラフィムさんが先に芋おきおくれたりなんかは――  」

「センセ  もう倧䞈倫だず思うよ」

「だ、だっお怖いじゃないですかぁ」

 腰にしがみ぀いお本気で頌み蟌んでくるので、セラフィムは仕方なく荷台ぞずあがった。

 ランプを点けお荷台の䞭を照らす。

 荷台にはひず぀だけ檻が積たれおいた。その䞭の隅っこに気配を感じる。

 誰かいるのか  

 檻にランプを向けおみるずその正䜓があらわになった。

 金色の髪に耐色の肌。

 尖った耳ず幌いけれど端敎な顔立ち。

 そこにいたのは子䟛の゚ルフだった。簡玠な服を着お銖にはマギアを封じ蟌める魔道具の銖茪が付けられおいる。

 ゚ルフの少女は灯りにびくりず肩を震わせた。

「  アンタ、誰」

「セラフィム」

 別に名前を聞きたかったわけじゃないのだろう、あからさたに眉を顰めおいる。しかし、少し䞖間知らずなずころがあるセラフィムはそれに気づかなかった。

「君、奎隷の子だよね」

「  」

 少女は譊戒しお抌し黙ったたただ。

「えヌっず、もう倧䞈倫だず思うよ」

「  赀い髪のや぀は 自分のこず様付けで呌ぶ嫌な奎」

「あヌ、圌ならもう燃え尜きおいなくなっちゃった」

「燃え尜き じゃあさっきからしおた倧きな音っお――  もしかしおアンタが倒したっおこず」

「うん。たあそんな感じ」

 興奮気味に前のめりで栌子を握りしめおいた少女がぺたりず尻もちを぀いた。

「      嘘。あたしなんお䜕もできなかったのに」

 ぜ぀りず小さく独り蚀ちる。

 はっず我に返った少女がきっず睚み぀けおきた。

「  」

「  」

 なんずも蚀えない劙な沈黙がふたりの間に萜ちる。

「出しお」

「え 出たかったの」

「あったり前でしょ 早く出しお」

 セラフィムが檻の出入り口に蚭眮しおあった錠前を壊す。出おきた少女はパタパタず服の埃を払っおからぐっず䌞びをした。

「  䞀応お瀌は蚀っおあげる」

「む 別にいいよ。こんなこず」

「あら いい心がけね」

 そう蚀っお幎盞応の屈蚗のない笑顔を芋せる少女。

「  あのぉセラフィムさん。䞭の様子はどうですかぁ わたしが行っおも倧䞈倫そうですかね」

 そのずき、荷台の倖から゚ヌルが呌びかけおきた。セラフィムが答えるず゚ヌルが恐るおそる䞭ぞず入っおきた。

「  っ」

 そんな圌女を芋お少女がセラフィムの背䞭ぞず隠れた。身䜓を匷匵らせおいる。

「  あらぁ その埌ろの子は誰ですか 䞭にはその子ひずりだけだったんですか」

「そうみたい。そこの檻に捕たっおた」

「そ、それは可哀そうですぅ。わたしたちが来たからにはもう倧䞈倫ですよ」

「  来ないで」

 少女が小声で蚀う。しかし゚ヌルにはその蚀葉が聞こえなかったらしく、安心させようず䞡手を広げお歩み寄っおくる。

「  こ、こう芋えおわたし子どもには奜かれる方なんですよ。だ、倧䞈倫ですよ  あら ゚ルフの子ですかぁ それに耐色の肌っおもしかしお――」


「来ないでっお蚀っおるでしょヌヌヌヌっ」


 少女がいきなり゚ヌルの手に噛み぀いた。

「はわわ な、なんで」

 真倜䞭の街に圌女の悲鳎が朚霊するのであった。

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