第28話 ジョブ集め
「すみません、これを触っていただけませんか? お金も払うので」
ギルドに着くや否や、私は受付で待機していた冒険者に声を掛ける。
ちなみにロープは別行動中だ……この建物の中で。
「あ、あぁ……別に構わないけど……なんだいこれ?」
私がカードを渡した相手は、槍を持っていた。
すなわちこの人のジョブは……。
「……触りました?」
「あぁ、触ったけど……」
「ありがとうございます、こちらお礼です」
「あ、うん……」
槍を持っている冒険者は、困惑しつつもお金を受け取った。
……カードが返却され、私は絵柄を確認する。
「……槍ジョブのカード、ゲット!」
まずは一つ目、槍ジョブ!
これで武器が一つ増えた! やったね!
「いやほんと、これだけで新たな武器が手に入るなんて最高!」
ただカードに触れてもらうだけで力が手に入る……これほど楽なことはない。
しかもお金さえ払えばみんなホイホイと触ってくれるので大助かりだ。
みんなはお金を貰えて、私は力が手に入ってまさにウィンウィンだ。
私はその後も、たくさんの人に声を掛け、お金を払いつつジョブ集めをしていった。
ジョブ集めなんて言葉、こんな時にしか使えないね。
「アニマさん!」
「ロープ!」
ギルドの中心で、ロープと落ち合った。
ロープの手元には2枚のカードがあった。
「とりあえず……2枚です!」
「ありがとう」
ロープが手に入れたカードは……「盾ジョブ」と「斧ジョブ」だ。
盾ジョブ……防御系は持っておいた方が良いかなと思っていたのでこれは助かる。
「ありがと、これでロープを守ることができるね」
「えへへ……」
ロープは私と違って変身ができない、いくら体が丈夫とは言っても、モンスターに襲われたらひとたまりもない。
ましてやあの喋るモンスターにやられたら……想像したくもない。
「攻撃は最大の防御」という考えもあるみたいだけど、それで玉砕してしまったら元も子もない。
とりあえず、これはいい収穫だな。
「皆の衆! 注目! 騎士団長、タイタン様がお見えだ!」
……突然、ギルドの建物の扉が開き、そんな声が聞こえた。
建物にいた冒険者たちは、皆玄関へと集合する……もちろん私たちも。
タイタンさんは威厳のある表情で、私たちの前で仁王立ちする。
そして……高らかに演説を始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます