第29話 タイタンの要請
「やぁ冒険者諸君! 騎士団長のタイタンだ! さて、早速本題だが……ご存じの通り、最近この王国において、喋るモンスターが多数現れている! 我々騎士団は王国の命により尽力を尽くすが、やはり我々だけでは追いつかないのが現状だ!」
まぁ、確かに、騎士団も人数には限りがあるし、追いつかないだろうね。
「そこで! 君たち冒険者にも協力を願いたい! 君たち冒険者も、喋るモンスターの退治をしてもらいたいのだ!」
タイタンさんは集まっている冒険者に向けてそんなことを主張してきた。
協力か……確かに私たちだけじゃあ難しいと思っていたのもあるので、助かる。
「もちろん! ただで協力してくれとは言わない! 喋るモンスターを退治した暁には、そのパーティに特別報酬を払おう! 皆の衆の活躍に期待する! 以上!」
タイタンさんはそう言って、冒険者ギルドを出た。
「特別報酬……マジで?」
「やべぇよ、大金稼ぐチャンスじゃね?」
「でも……あいつらバカみたいに強いよな? 俺たちで行けるか?」
タイタンさんの演説に、皆三者三様の反応を見せる。
特別報酬か……まぁ危険を伴うだけの対価を払うというのなら当然とも言える。
「アニマさん! これはまたとないチャンスですよ! お墨付きをもらった上に特別報酬なんて!」
ロープは私の体を揺さぶってそう言う。
……特別報酬か。
「まぁ、私はとりあえず、あいつらの根本を潰すのが先だと思うかな……」
いくら一体一体倒したところで、問題が解決されるわけではない。
……何とかしなくちゃいけないんだけど。
「……じゃあとりあえず! ダンジョンで修行ついでにお金を稼ぎませんか?」
「……そうだね、行こうか!」
私はロープと手をつないで、受付へと向かおうとした……その時だった。
「随分と羽振りが良いみたいじゃねぇか、アニマ!」
……聞き覚えのある声が後ろから来た。
「……カロン」
憎たらしいカロンとその連れが私たちにまた嫌味を言うつもりのようだ。
「聞いたぜ? さっきの騎士団長様にお墨付きをいただいた上に、最近ダンジョンで大活躍らしいじゃねぇか……騎士団にいくら払ったんだ? おぉ?」
……どうやら奴は、私たちが騎士団に賄賂を渡していると……そう言いたいらしい。
「ほんと、汚い奴ら! あんたたちがダンジョンで活躍できるわけないじゃない!」
「本当に、馬鹿でもわかるよ、君達がそんな力を持っていないとね、あの喋るモンスターも実は騎士団が倒して、貴方達の手柄に仕立て上げたのでは? と、賢い僕は考えるね」
ヒドラとニクスもカロンの間抜けな考えに賛同しているようだ。
……馬鹿馬鹿しい、相手にするだけ無駄だ。
「……行こ、ロープ」
「……はい」
私たちは背を向け、受付へと向かう……が、奴はその憎たらしい口を止めなかった。
「おい! 話は終わってねぇぞ!」
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