第27話 考案

「あの喋るモンスター……結局なんなんだろう?」


 出会った喋るモンスターはこれで3体目。

 ゴブリン、ミノタウロス、そしてスライム……。

 このうち、ミノタウロスとスライムは人間から変貌した……。

 彼らは……一体何なんだ?


「私も気になっていました……あの喋るモンスターについて……」

「だよね、最初に私が遭遇した奴以外は……うーん、なんだろう……なんか、欲望に忠実というか……」


 腹が減った、水が飲みたい、両方ともよくある欲求だ。

 それが過剰になっているような……そんな気がする。


「それに、両方とも人間から変貌していませんでしたか?」

「あぁ、そうだね……と、そういえば」


 最初に遭遇したゴブリン……確かこんなことを口にしてたな。


『……こいつも外れか、まぁいい、この中に当たりがいるかもしれないからなぁ……』

『……こいつも外れか、当たりはどこにいるかなぁ!?』

『おい……そこの小娘、お前なら……資格があるかもなぁ?』


 外れとか資格とか……訳の分からないことを口にしながら人々を襲っていたな。

 アレはなんなんだろう? 何か意味でもあるのだろうか?


「外れ……資格……奴らは何の目的で人々を? なんで欲望を満たすために動いてる?」


 ……あぁもう! よくわからない!


「ま、まぁ! アニマさん! 私たちがやることは決まっているじゃないですか!」

「……やること?」

「はい! 現れたらとりあえず退治! そして、彼らの動きをよく観察する! それしかないですよ!」

「……」


 現れたら戦ってよく観察……確か、私がダンジョンに初めて入って、右も左もわからなかった時……動物に変身して色んなモンスターの研究してたっけ……。

 そのおかげでパーティに貢献できたと思ったけど追放されて……何もかも無意味だと思ったけど……その観察力、居間なら発揮できるかもしれない!


「……だね! 一緒に戦おう!」

「はい!」


 私たちは決意を確認するためにお互いに手を掴んだ。


「では! 今日はアニマさんの背中、流してあげます!」

「ふふ、じゃあやってもらおうかな」

「はい!」


 私たちは湯船を出て、洗い場へと向かった。



「……報告します、ミノタウロスロード、スライムロード……どちらも冒険者に駆逐されてしまいました」


 とある城、カーリナが報告を行っていた。


「……どういうことだ? 我々に敵うものなどいないはずであるのに……」

「はい……どうやら奇妙な魔道具を使用する冒険者がいるようです」

「……奇妙な魔道具?」

「はい、どうやら様々な冒険者ジョブに次々と変化している……らしいです」

「……」


 カーリナの報告にローブの女は驚愕を露わにした。


「……命令する、その冒険者を抹殺しろ……どんな手を使ってでもだ」

「……かしこまりました」


 カーリナは命令を聞くと、ドラゴンになって飛び去った。


「……我々の障害になるものは、すべて抹殺だ」

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