第26話 入浴
「……ずぶ濡れだね」
「そうですね……」
……この水、まさか全部奴が吸収したものなのだろうか?
そういえば、あの男性たちが話していた言葉……。
『なぁなぁ、聞いたか? 辺境の湖が突然干上がったらしいぞ!?』
『嘘つくなよ、辺境の湖っつたら、この辺で一番デカい湖じゃねぇか』
『マジなんだよ、俺の取引相手の行商人が言ってたんだ、なんか周りにはカラカラに乾いた人間の死体があったらしくてよ……』
……あの事件、全部あのスライムの仕業なのだろうか?
ということは、この水は全部……考えない方がいいのかな?
「……とりあえず、騎士団の人が来るまで、雨宿りしませんか?」
「そうだね……」
このままここにいると風邪をひきそうだ、ロープの言う通り、一旦屋内に入ろう。
◇
しばらくして、タイタンさんが到着し、事件を引き継いで私たちは公衆浴場へと向かった。
ダンジョン探索で疲れた上に、滝のような雨を受けたおかげでもうヘロヘロだ。
ちなみにまだ雨は降り続いている、弱まっては来たけど。
……洪水とかにならないといいな。
「ふぅ~、今日は色々ありすぎたね、ロープ」
「はい、私もとても疲れました……」
なんというか、疲れとか雨水がお湯で洗い流されたような……そんな感じがする。
私たちは湯船に浸かり、お互いに今日の出来事を振り返った。
「いやぁ、全く、カロンの奴……次会ったらマジでぶっ飛ばす! ロープを馬鹿にして、絶対に許せない!」
「まぁまぁ……」
「まぁまぁって! ロープだって悔しいでしょ? あんな奴許せないでしょ?」
「そう……ですけど」
カロンの奴……思い出すだけで腹が立つ……今度会ったら……。
「それよりも……今日はやけに乾燥してましたね」
「うん、そうだね……多分、あのスライムのせいじゃないかって私は考えているんだ」
「……と、言いますと?」
「いやね……」
……私はこう考えている。
奴は水を強く求めていた……湖の水を吸収したのも奴だとすると、その欲求はかなりのもの。
空気中の水分も奴が吸収したと考えると……乾燥していたのも納得がいく。
「……ていうのが私の考え」
「なるほど……確かにそうかもしれませんね!」
ロープは私の考案に納得したようだった。
だが……分からないことがある。
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