第25話 噴水
こいつの弱点……一体なんだ?
「まだ足りない……水が……水が欲しいのおおおおおおおお!!」
奴はまた奇声を発した。
……水。
『にしても、今日乾燥しすぎじゃない?』
『そうですね……火事とかが起きたら大変ですね』
……そうだ、奴を火あぶりにして、蒸発させたらいいんだ!
でもここで火を放ったら大惨事になりそう……ならばこれだ!
とりあえずジョブチェンジだ!
私は魔法ジョブのカードを取り出し、スライドさせた。
『ジョブチェンジ! 魔法!』
ローブに身を包んだ私は、早速水を思い浮かべ、スライムとは反対方向に放った。
「ほーら、お望みの水だぞ!」
私は鳥に餌をばら撒くように、向こうの方へと水をまき散らす。
すると、それに食いついたのか、奴はそちらの方向へと走り出した。
「水……水ううううううう!!」
……思った通りに動く、いいね。
「ロープ! この辺で広いところってどこ!?」
「アニマさんが水をばら撒いた方向に、噴水広間があるはずです!」
「噴水広間……いいかも!」
そこに奴を誘導させたら、思う存分火を放てる!
「じゃ、こいつをそこまで誘導させるよ! ロープ! 案内して!」
「はい!」
私はロープが走る方向に水をばら撒き、スライムを誘導させていった。
◇
……しばらく水を放ち、ついにだだっ広い噴水広間が見えてくる。
「ほーら! あそこに沢山水があるぞ!」
私は杖で方角を示し、奴に水の場所を伝える。
「水……水飲みたい!!」
スライムは馬鹿正直に噴水へと飛び込んだ。
……よし。
「ロープ! 離れて!」
「はい!」
私は巨大な炎をイメージし、噴水へ飛び込んだスライムに目掛けて撃った。
「く、食らえ!!」
杖から放たれた炎は……イメージよりもかなり大きかった。
やはり乾燥している影響で、かなりの威力だった。
巨大な獄炎がスライムに命中し……噴水から、まるで豪雨のような水しぶきが起きた。
「きゃあああああああああ!!」
スライムは叫び声を上げ……跡形もなく消え去った。
辺りは豪雨になり、まるで霧のようになっていた。
「アニマさん!」
豪雨の中、ロープがこちらに駆けてきた。
「ロープ! やったね!」
「はい!」
私たちはチームワークを証明するかのようにハイタッチをした。
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