動物に成り切るしか能がないと言われて追放された私、慰謝料代わりにもらったゴミアイテムで街に現れたモンスターを倒したら英雄になった件～ジョブ「変身」は未知の魔道具を覚醒できる唯一無二の能力だった～

第24話 スライムロード

「お水……水……水飲みたい……喉乾いた……お水が……お水が欲しいのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお！！」

　女性が突然奇声を上げ……女性の全身から、液状の何かが噴出した。

　そして……女性の体が、その液状の何かに完全に覆われてしまった。

　これは……まさか……。

「喋るモンスターの……スライム版？」

「……みたいですね」

　まずい……屋台のご主人が危ない！

　私は急いで腕輪を装備し、カードをスライドさせた。

『ジョブチェンジ！　格闘！』

　私は格闘ジョブになり、屋台のご主人の方へ駆けて行った。

「お水……お水ううううううううううううう！！」

「だ、誰か助けてくれ！」

　スライムは液状の腕を伸ばし、ご主人に襲い掛かろうとした。

　私は咄嗟にご主人を押し出し、奴の液状の腕を蹴りで弾き返した。

「向こうに逃げて！」

「は、はひ！？」

　私が安全だと思った向こう側を指差すと、ご主人は足早に遠くへと逃げて行った。

　こいつはご主人を襲う気かもしれない……早く戦わないと……。

「水……水……」

　……スライムはご主人はおろか、私たちのことを気にも留めず、屋台に置いてあった樽を破壊した。

　……そして。

「……何？　こいつ……何やってるの？」

　奴はこぼれた水に向かって……倒れた。

　あまりに奇怪な行動に、私は困惑してしまった。

「アニマさん！　見てください！　水が……」

　ロープに指摘され、よく見てみると、確かに、こぼれた水が……スライムに吸収されているように見えた。

　……ここから導き出される結論、それは。

「水が欲しい……ってことは、こいつは水分を吸収してる？」

　このスライムは水を欲している……。

　まさか……先ほどの男性たちが話していたこともこいつが？

「と、とにかく何とかしないと……でもどうすれば……」

　こいつの弱点……一体なんだ？