第14話 経緯
騎士団のお墨付きを得て、はや数日。
私たちは修行のため、そして生活費を稼ぐためにダンジョンに潜っていた。
「行くよ! ロープ!」
「はい!」
私は弓が描かれているカードを取り出し、腕輪に通した。
『ジョブチェンジ! 弓!』
そんな音声が流れ、私の服装は動きやすいような感じになり、片手に弓を装備した。
「じゃ、行くよ!」
私は「矢を装填せず」、弓を引いた。
弓を限界まで引っ張ると……それまで無かったはずの光の矢が装填され、それを確認した私は、モンスター目掛けて打ちはなった。
「ぶひゅううううう……」
モンスター、オークは呻き声を上げ、煙になって消えた。
そして奴の中から……魔石が複数個落ちた。
言わば「ドロップ品」というものだ。
「とりゃあああああああ!!」
ロープはご自慢の拳と脚で、残ったオークどもを痛めつけた。
やっぱり彼女は凄い……それに戦い方も美しい、思わず見とれてしまった。
「アニマさん! アニマさん! 見てください! こーんなにドロップ品が!」
ロープは自分の力で手に入れたドロップ品を抱えて、こちらに駆け寄ってきた。
「うんうん、凄いねロープは」
「ありがとうございます! えへへ~」
私は褒めると同時に、ロープの頭を撫でた。
……この子は本当に小動物のようだ、ずっと撫でていたい。
「……それにしても、凄いですね! 剣も弓も魔法も……」
「いやぁ、私もまさかできるとはね……」
どういうわけか、ジョブチェンジしてもまるでそれまで経験してきたかのように上手くいっている。
なぜだろう? カードとこの腕輪……ジョブチェンジャーの力なのであろうか?
「そういえばアニマさん、その腕輪とカードはどこで?」
「あぁ、これはね……」
……この魔道具を見つけた場所。
それはダンジョンの中に必ずある「レアドロップ品が眠っている場所」で見つけたのだ。
そこには箱のようなものがぽつんと一個あるだけで、必ずあるとは言うものの、見つけたらラッキーな場所なのだ。
……で、私が前いたパーティ……すなわちカロン達とダンジョンに入った時だ。
私が鳥に変身して辺りを偵察していた時、その部屋を見つけた。
すぐさまカロン達に報告し、中の物品を回収しようとした……が、見つかったのは泥だらけの腕輪と何も書かれていないカード。
カロン達3人はカードを持ったまま呆然としてたっけな……「無能なお前なんかに触らせるかよ」なんてほざいてたくせに、いざ使えないと判断すると私に押し付ける……まぁ、今ではある意味あいつらのおかげで騎士団のお墨付きも得られたんだけどさ。
「……と、そういうわけ」
「なるほど!」
私はロープにこの腕輪の出どころをすべて話した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます