第15話 カードの秘密と追放した側

「……ということは、そのカード、彼らと同じジョブが掛かれているというわけですね!」

「……どういうこと?」


 彼ら……カロン達と同じジョブ?

 確かにカロンは剣、ヒドラは魔法、ニクスは弓……。

 そういえばあいつら、カードを持って茫然……まさか!


「ねぇロープ! ちょっとこれ持ってみて!」

「え? あ、はい!」


 私はロープに「何も描かれていないカード」を手渡した。

 ……すると。


「やっぱり! 思った通りだ!」


 ……何も描かれていなかったカードが突如、「拳が描かれているカード」に変わった。


「わぁー! なんなんですかこれは!?」


 ロープは突如変わったカード委一喜一憂している。

 ……ここから得られる結論、それは。


「このカードはロープのジョブ……格闘のカードだ!」

「えぇ!? ど、どういうことですか!?」


 ……恐らくこの何も描かれていないカード、他の冒険者がこのカードを触ると、「その冒険者のジョブのカード」に変化するんだ!

 カロン達は無意識に触って気づかなかったんだな! なんて馬鹿な奴ら!


「じゃ、試しにやってみよう!」

「わ、私のジョブに変身するんですか!? なんか緊張しますね……」


 私はロープからカードを受け取り、腕輪に通した。


『ジョブチェンジ! 格闘!』


 そんな音声と共に、私の服装が変わった。

 ……その服装とは。


「わー! 私とそっくりですね!」


 ロープは変わった私の服に対してそう感想を述べる。

 ……そう、今の私の格好はロープと同じ、戦いやすい軽装だ。

 ……ちょっと露出度高くて恥ずかしいな、まぁいいか!


「じゃ、行くよ! ロープ!」

「はい!」


 私たちはその日の生活のため、脚を動かした。



 ……その頃、アニマを追放したカロン、ヒドラ、ニクスの3人もダンジョンに潜っていた。

 だが……。


「おいヒドラ! 俺の背後にいる奴処理しろよ!」

「やってるって! ていうかニクス! あんたもちゃんと処理しなさいよ!」

「やっている! 僕は天才だぞ!?」


 連携が取れず、まだ浅い階層であるにもかかわらず苦戦を強いられていた。

 3人は当初、「いらない奴が消えてくれてラッキー!」程度に考えたいたのだが、現実はそうではなかった。

 3人は大苦戦を強いられ、なんとか殲滅できた。


「おい! 早く回収していくぞ!」

「いちいち怒らないでよ!」

「あぁ……僕の愛しの弓ちゃんが……」


 カロンは終始イラつき、ヒドラはそれに怒りを露わにし、ニクスは自分の弓の心配をする……彼らは自らが追放したメンバーの価値など、これっぽっちも考えなかった。

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