閑話 工事現場での出来事

 ……アニマたちが言葉を発するミノタウロス……ミノタウロスロードと遭遇する少し前。


「よーし! 休憩だ! 休んでいいぞ!」


 とある工事現場、そこでは男衆が新たな建物を建設するため、作業を行っていた。

 ……工事現場の監督を務める男は他の作業員に休憩の合図を出し、それに合わせて皆、手を休めた。


「はぁ~やっと飯だ!」

「腹減った~」


 作業員たちの腹は既にスカスカだった……もちろん、監督を務める男も例外ではない。


「はぁーあ! 俺も飯食うか!」


 監督を務める男はそう言って、自身の荷物から昼食を取り出そうとした……その時だった。

 男の荷物の前に褐色肌の女が立っていた。


「……なんだ?」


 男は困惑しつつも、自身の荷物の元へと急ぐ。

 早く食べて作業を終えないと……そんなことを考えながら。


……その時。


「ぐはぁ!?」


 ……褐色肌の女が「爬虫類のような手」を出し、それを男の腹部に目掛けて突き刺した。

 男は苦しみだし、血液も大量に出ていた。

 そして男は……目が緑に光り、牛のような顔つきになり、体も屈強になっていった。


「……お前は当たりのようだな」


 褐色肌の女……カーリナは男に向かってそう言った。


「今日からお前は『ミノタウロスロード』だ、まずは欲望のままに暴れてみろ」


 カーリナはそう言って……闇の中へと消えた。

 男……ミノタウロスロードは、今自分が欲しているものを口にした。


「……美味しいものが食べたい」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る